年間10万名以上の介護離職が発生するなど「介護」は私達の身近な問題となっています。UAゼンセンは「介護共済」で介護の経済的・精神的負担をサポートしています。現在、加盟組合では介護共済の団体型(組合員本人対象)に80団体・約10万8000名が加入し、介護離職防止や仕事と介護が両立できる環境づくりに努めています。5月に団体型に加入したハイデイ日高労働組合(総合サービス部門、フードサービス部会、埼玉)の事例を紹介します。
熱意と行動で介護の不安を軽減
ハイデイ日高労働組合(埼玉)
ハイデイ日高は1973(昭和48)年、埼玉県さいたま市に大衆中華料理店『来々軒』を創業。現在は主力業態の『熱烈中華食堂 日高屋』を中心に関東一都六県で444店舗(9月1日時点)を展開している。ハイデイ日高労働組合は2018年に結成し「働き続けたい」と思える職場を目ざし労働環境の改善に取り組んでいる。
離職を減らすため共済加入へ即行動
昨年6月から一年間委員長を務め、介護共済の団体型加入に尽力した十河健太郎前委員長に話を聴いた。委員長に就任した直後からUAゼンセンなどのさまざまな研修に参加し、UAゼンセン共済についても入門コースをはじめ諸研修を受講。そこで、割安な掛金で配偶者の親まで加入できる介護共済を知ったそうだ。「介護による不本意な離職を減らしたい」との思いの強かった十河さんは、介護共済が離職を防ぐ一助になると感じた。また、組合として介護共済の団体型に加入することで、組合員の親や配偶者も入りやすくなり、保障金額の範囲も広がることを理解した。少しでも早く団体型加入をと共済事業局から講師を招き執行委員会で制度内容や加入の意義を共有。ことし3月には介護共済団体型の加入を申請し、5月1日の保障開始を実現した(保障額50万円、加入者数約9000名)。「組合員が安心して働き続けられる環境をつくりたい一心で取り組んできました。介護共済を有効に利用して、少しでも長くハイデイ日高で働いてほしいです」。委員長を退任し営業管理職になったいまでも十河さんの思いは変わらない。
働く仲間のために“前進あるのみ”
さまざまな方法で制度内容を周知
前委員長の思いを引き継ぐ豊福孝行委員長は、「保険料が高くて民間の介護保険の加入をためらう仲間達を以前から気にかけていました」と語る。豊福委員長は、就任早々から執行部の協力を得て介護共済の周知と個人型加入の促進に取り組んだ。執行部は、委員長以外は非専従のため日ごろは集まれないなか、SNSで情報や意見を交換し取り組みに生かしている。
組合員向けには組合の公式LINEで情報を発信。共済についても紹介動画を含め、さまざまな情報を案内している。そうした工夫や熱意は組合員に伝わり、アカウントの有効登録者数は現在2000名を超えるという。
さらに豊福委員長は「直接、介護共済の良さを伝えたい」と、店長研修会直後での共済説明会開催を会社へ提案した。店長研修会はカリキュラムが濃密で追加項目を設定するのは難しいが、委員長は根気強く会社側と相談を重ねた。その結果、30分間の共済説明会実施という特例が認められた。7月に実現した説明会では共済事業局の秋田泰宏部長と共に共済の意義や概要を仲間達に語りかけた。その後、「共済の内容を詳しく説明してほしい」「介護共済について興味が湧いた」などの声が組合に届いているという。
豊福委員長は周知する側のスキルアップの必要性を感じ、共済事業局や総合サービス部門が主催する研修会に可能な限り参加している。取材に同席してくれた小田原潤弥執行委員は共済事務を担いながら自主的に知識を磨いているという。「介護共済をきっかけに若年層に有用な積立共済やフレッシュパックも伝えたい」と顔を輝かせる。
仲間のために前進を続ける
豊福委員長は「当労組は結成5年で、まだ組合の存在意義が組合員に十分に理解されていません。共済の周知活動は理解促進につながっています」と取り組みの効果を語る。最後に改めて介護共済への思いを聴いた。「組合は組合員のためにあります。共済が組合員の役に立つのなら、その良さを理解してもらうのが組合の役割です。一度や二度の説明で十分とは思っていません。これからも “前進あるのみ”です」。豊福委員長は力強くそう語った。