労働協約の地域的拡張適用の成果
4月11日午前、UAゼンセン加盟組合で家電業種のヤマダホールディングスユニオンとデンコードーユニオンの申し立て(昨年7月29日)により、青森、岩手、秋田県の全域を適用地域として「労働協約の地域的拡張適用」が決定しました。今回のような都道府県を越えた拡張適用は、国内で初めてとされています。これにより、本年6月1日から2025年5月31日までの間、対象店舗の正社員の年間所定休日が111日以上となりました。
より多くの働く者の労働条件向上へ
労働協約は原則、協約当事者である労働組合の組合員にのみ適用
されます。しかし、労働組合法第18条で、「ある地域で従事する同種の労働者の大部分(概ね75%以上)が同じ労働協約の適用を受ける場合、当該労働協約の当事者の申し立てにもとづき、労働委員会の決議により厚生労働大臣または都道府県知事が当該地域で従事する他の同種の労働者およびその使用者も当該労働協約の適用を受けるべきであることを決定することができる」旨を定めています。
家電業種2組合が申し立て
2022年5月13日にヤマダホールディングス労使およびデンコードー労使が労働協約を締結。7月29日に厚生労働大臣に労働協約の拡張適用の申し立てを行いました。そして、中央労働委員会での調査・審議を経て、今回の決定に至りました。
今回の労働協約の拡張適用は、2021年9月22日のヤマダホールディングスユニオン、ケーズホールディングスユニオン、デンコードーユニオンの申し立てによる茨城県全域を対象とした地域的拡張適用(茨城県内の大型家電量販店の正社員の年間所定休日数が111日以上)に続くものであり、厚生労働大臣による決定としては2例目となります。また、都道府県を越えた拡張適用は、国内で初めての事例とされています。
国内初 都道府県を越えた拡張適用へ
広域にわたる拡張適用の道開く
今回の決定を受けて、同日午後に行った記者会見で、古川大(まさる)書記長は「今回の地域的拡張適用の内容は、前回と同様であるが、より広域な複数県で拡張適用ができることが明確になった。労働協約が社会的なルールにつながることから、集団的労使関係の構築や労使交渉の意義が高まったと認識している。引き続き、さまざまな業種や地域で拡張適用の取り組みを進めていきたい」と述べました。
また、報道関係者との質疑応答のなかで、ヤマダホールディングスユニオンの三浦広和委員長は「今回の地域的拡張適用に当たっては、執行部はもちろん、各地域の分会長にも協力をいただいた。今後も家電関連部会の仲間達で勉強をしながら、取り組みを進めていきたい」と語りました。さらに、デンコードーユニオンの三浦聡一委員長は「労働協約の拡張適用が、従業員・組合員の福祉の向上につながるからこそ、経営者の賛同が得られた。業界の労働条件がしっかりと整備されていくことが大切だと感じる」と強調しました。
今後も①組織拡大活動の実効性の再確認②労使関係の重要性の再認識③未組織労働者の保護の3点をふまえながら、さまざまな業種や地域に取り組みを広げていけるように引き続き研究・検討を推進していきます。
労働協約の地域的拡張適用 一定の地域において同種の労働者の大部分(概ね75%以上)が同じ労働協約の適用を受ける場合、その労働協約の内容をその地域における他の同種の労働者に適用させる仕組み。労働組合法第18条に規定がある。