「介護」は、だれにとっても身近な問題です。UAゼンセンは、介護の経済的・精神的負担を全力でサポートするために「介護共済」を2021年3月に設立しています。現在、加盟組合では介護共済の団体型(組合員本人対象)に76団体・約10万4300名が加入し、介護離職防止や仕事と介護が両立できる環境づくりに努めています。本年2月に団体型に加入した「ニプログループ労働組合連合会」(製造産業部門、医薬業種、大阪)の事例を紹介します。

介護の不安や悩みを払拭

ニプログループ労働組合連合会

労連加盟7組合で6200名が加入

ニプログループでは、医療機器事業、医薬事業、ファーマパッケージング事業という3つの事業を展開している。
このニプログループに所属する企業で働く従業員で結成した7つの労働組合(別項参照)の連合体組織が「ニプログループ労働組合連合会」(以下、労連)である。働く仲間と家族の幸せのために、労働条件の向上や職場環境の改善などに力を尽くしている。
ニプログループには、労働組合がない企業で働く仲間や、労働組合があっても労連に加盟していない組織もある。そんななか、労連は、本年2月1日にUAゼンセン介護共済の団体型(全員加入)に加入した。加入人数は加盟7組合の組合員約6200名。保障額は50万円で、月額一人130円の掛金は労連が拠出している。
原田要会長は、団体型加入について「ここ数年、介護休職についての相談や介護に関わる会社規定についての問い合わせが増えています。仲間の皆さんに労連だからこそ提供できる“大きな安心”を形にしたかった」と思いを語る。
労連では、勉強会や各種会議などで介護共済について理解を深め、2021年10月の定期大会で団体型への加入を活動方針に明記。以降、具体的な加入手続きを進め、このたびの加入に至った。

ニプログループ労連
◇ニプロユニオン
◇ニプロ医工労働組合
◇ニプロファーマユニオン
◇CSTIユニオン
◇グッドマン労働組合
◇NPPひだユニオン
◇NPM労働組合

〝介護は突然やってくる〟を実感

離れて暮らす親へのサポート

介護共済の魅力をうかがうと、「まずは、手ごろな掛け金で充実した経済的サポート(給付金)が受けられることです。加えて、ニプログループでは全国に事業所が点在しているために親元を離れて暮らす仲間も多く、ケアマネージャー等への電話相談や、遠方に住む親が訪問サービスを受けられることがありがたいです」と語る。
聞けば、原田会長自身、離れて暮らす実母や義父母の介護を経験しており、役所や地域包括支援センターなどとのやり取りで苦労したことがあった。それゆえ、「専門家による精神的サポートを享受できることは心強い」と力を込める。さらに、「“介護は突然やってくる”ことを実感しました。そのために事前の備えが必要です。介護共済をつうじ、いざというときに慌てないようにしてもらいたいです」と思いを語る。

「個人型」への加入を促進

労連では、機関誌『ねっとわ~く』(毎月発行)やホームページなどで介護共済(団体型・個人型)の内容や団体型加入の意義などについて連載している。また、職場集会などをつうじて直接仲間達に伝えている。
「団体型に加入し、ベースをつくりました。今後は、一層の安心のために個人型への加入を促進していきます」と語ってくれたのは堀口裕正副会長。昨年から始めたLINEでのメッセージ発信にも力を入れていくそうだ。

労連専従の仲間達。中央が原田要会長
労連専従の仲間達。中央が原田要会長

最後に、「安心できる暮らし実現のためには、賃金や一時金などの水準アップに加え、可処分所得を増やすことが大切です。そのためにも、介護共済をはじめUAゼンセン共済や『ろうきん』などの有為な制度に意識を持つことが必要です」と原田会長。さらに、「労働組合の原点は“人”です。人とのつながりや相互扶助が不可欠です。昨今、働くことに対する考え方や企業文化、価値観などが多様化しているように感じています。そのために新しいことへの挑戦が大切です。しかし、そんななかにあって仲間同士のつながりを大切にしたいという思いが一層強くなっています。まずは各種共済制度やサービスを活用できているかどうか、職場に足を運び、仲間達に訴えていきます」と熱い思いを語ってくれた。

介護離職ゼロを目ざし介護共済