UAゼンセンは、悪質クレーム等のカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)から働く仲間を守るため、さまざまな取り組みを展開しています。その結果、働く仲間の声が実り、政府・地方自治体で防止条例の制定へ向けた動きや、消費者教育の充実がはかられています。北海道、東京都、三重県、岡山市の取り組みを紹介します。

INDEX
・カスハラの調査内容を道政に反映【北海道】
・カスハラ防止対策の条例化へ【東京都】
・カスハラ防止強化を知事に訴え【三重県】
・カスハラの撲滅へ消費者教育【岡山市】

カスハラの調査内容を道政に反映【北海道】

UAゼンセン北海道支部(砂長勉支部長)は、特定非営利活動法人「北海道勤労者安全衛生センター」の齊藤勉事務局長(UAゼンセンから派遣)と連携し、カスハラ対策を進めています。
この間、齊藤事務局長は対顧客および対取引先の2回にわたって、カスハラの実態に関する調査を実施。昨年行った調査結果の公表は、全国のマスコミ等からも注目されました。

また、齊藤事務局長は道議会における「カスハラ防止条例」制定の必要性を訴え、経営者団体や消費者団体と積極的な意見交換を実施しています。その結果、道内では立場を超えて、カスハラ防止に関する理解が浸透し始めています。

道議会の意見聴取に臨む齊藤事務局長(左)
道議会の意見聴取に臨む齊藤事務局長(左)

カスハラ防止対策の条例化へ【東京都】

既報のとおり、現在、東京都においてカスハラ対策の条例化が進んでいます。
UAゼンセン東京都支部(新敦支部長)ではこれに先立ち、新型コロナ感染拡大時から、増子博樹組織内都議会議員と連携し、都に対しカスハラ防止に資する啓発を求めてきました。
その結果、昨年10月に開催した東京都支部の第12回定期総会には、小池百合子知事が出席し、「東京都としてカスハラの防止を実現し、働いている方々を守るための取り組みを行っていく。労働組合の皆さんには、労使会議の場において、引き続き、現場の声を届けてほしい」と述べました。
その後、実際に都は専門家による「カスタマーハラスメント防止対策に関する検討部会」を設置しました。

本検討部会には、連合東京をつうじて、佐々木啓真総務企画局長(UAゼンセンから派遣)が出席。労働者側代表として、UAゼンセンと連携しながら、働く仲間の声を条例やガイドラインの制定につなげるべく奮闘してきました。
カスハラ防止対策の条例案は、早ければ今秋の都議会に提出され、来年には施行される見込みです。

カスハラ対策強化に理解を示す小池知事
カスハラ対策強化に理解を示す小池知事

カスハラ防止強化を知事に訴え【三重県】

UAゼンセン三重県支部(楠本敏久支部長)は、平畑武組織内県議会議員や川口円準組織内県議会議員とともに、カスハラ防止対策の強化に関する取り組みの必要性を県に対して訴えてきました。

三重県支部による働きかけによって、2月末には、一見勝之知事が定例記者会見のなかで、カスハラに関する意識醸成の必要性に言及し、「県として、カスハラ防止対策について条例制定も視野に入れて検討する」と発言するに至りました。
これをふまえ、4月15日、楠本支部長は改めて県に対して労働組合が参画する検討会の設置などを求める要請を実施。その後、同月19日には県のホームページにカスハラ防止対策の情報が掲載されました。加えて、三重県支部では、県内の経営者団体にも周知・啓発を求めています。
引き続き、三重県支部は組織内・準組織内議員と連携し、条例の早期制定へ向け、働きかけを強めます。

県の担当者に対して、要請書を手交する楠本支部長
県の担当者に対して、要請書を手交する楠本支部長(右から3人目)

カスハラの撲滅へ消費者教育【岡山市】

現在、岡山市では消費者教育のなかで、カスハラ対策の充実をはかっています。
UAゼンセン岡山県支部(濱村雅人支部長)は、高橋雄大準組織内岡山市議会議員をつうじて、全国の自治体に先駆け、2023年度から2027年度までを期間とする「第2次消費者教育推進計画」のなかに、カスハラ防止のための対策を盛り込みました。

高橋市議は、市議会のなかで「サービスを提供する側と受ける側が共に尊重される消費社会を目ざすべき」と提起。加えて、カスハラの深刻な実態を強調してきました。このような訴えの結果、消費者教育推進計画の策定に当たってはUAゼンセンが実施した「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査」が活用されました。
また、市は2024年度の活動のなかで、市民を対象として、具体的なカスハラ事例の紹介を含む出前授業を実施。将来的には条例化についても検討をしていく予定となっています。

カスハラ防止対策の必要性を訴える高橋市議
カスハラ防止対策の必要性を訴える高橋市議
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田村まみ組織内参議院議員 プロフィール

1976年生まれ。1999年、ジャスコ(現・イオンリテール)に入社。食品スーパーのマックスバリュでデイリー部門(豆腐や納豆)ひと筋に勤める。2006年組合専従(中央執行委員)。2019年7月の第25回参議院議員選挙(比例代表)で初当選。厚生労働委員会、予算委員会、消費者問題特別委員会などに所属。2025年実施の第27回参議院議員選挙(比例代表)の組織内候補者として、働く仲間の声を聴きながら、政策実現にまい進中。