キャリアアップ助成金を活用した「年収の壁」への対応等について

厚生労働省雇用環境・均等局 倉吉 紘子 企画官

パートタイム労働者が税や被用者保険の加入基準に達しないよう労働時間を調整する「年収の壁」をめぐる現状について、厚生労働省の調査では、配偶者がいる女性パートタイム労働者のうち21%が就業調整をしているとされています。

しかし、社会保険に加入することは、保険料負担が生じる一方でさまざまな保障を受けることができます。また、生涯可処分所得に着目すると、年収の壁を越えて年収150万円で働くほうが、壁を越えずに年収100万円で働くよりも、世帯の生涯可処分所得が1200万円増える試算となります。これは、給与所得額の差だけでなく、65歳以降の年金収入額の差によって生じます。こうした利点を皆さんに理解いただけるよう、周知に努めているところです。

次に、キャリアアップ助成金社会保険適用時処遇改善コースのご紹介です(別掲参照)。このコースは、労働者に社会保険を適用する際に、手当等の支給や所定労働時間の延長を行った事業主を支援するものです。時限措置で、2026年3月末までに事前の届け出と社会保険適用の取り組みが必要である点にご注意ください。

現在の利用状況は、2万事業所から届け出があり、取り組み予定労働者数は31万名を超えています。3つのコースのうち、労働時間延長メニューの活用が圧倒的に多い状況です。就業規則や賃金計算システムを変更する必要がないことも、活用が進んだ理由と考えられます。

キャリアアップ助成金の活用についてお悩みの企業の方は、最寄りの労働局、ハローワーク、働き方改革推進支援センターなどにご相談ください。