UAゼンセンは政策・制度実現を目ざし、各級議会の組織内・準組織内議員がさまざまなテーマについて話し合う情報交換会を適宜開催しています。10月26日、11月1日の両日、田村まみ組織内参議院議員が出席し、すべての産業における公契約(国や地方自治体が民間企業や民間団体などと結ぶ契約)の適正化へ向け、情報交換会(Zoom)を開催しました。

「公契約条例」の制定が必要

「公契約」とは、国や地方自治体の事業(サービス、工事、物の調達など)を民間企業や民間団体に委託する際の契約のことです。公共工事、物品の購入、病院の医療事務、ビルメンテナンス、公共スポーツ施設の管理・運営、警備、給食、運送、清掃など多岐にわたり、UAゼンセンの多くの仲間が従事しています。
現在、地方自治体の厳しい財政状況を背景に、公契約の低価格化の進行が公契約事業に携わる民間企業の経営悪化や労働者の労働条件の低下だけでなく、ひいては公共サービスの質の低下などを引き起こしています。現実に各種事故も発生しています。
不当に安い価格での受注や悪質なブローカー(仲介人)による低価格受注を排除し、安心した生活を営める賃金水準と質の高い公共サービスを保障するためには、全業種を対象に「公契約条例」の制定が必要です。
2022年10月現在、全国77の自治体で公契約条例を制定しています。しかし、このなかで労働者の賃金保障を義務づける内容を定めている自治体は27にとどまっています。
UAゼンセンは、2023年度重点政策で公契約の適正化(別項)を掲げ、総合サービス部門の公契約PT(プロジェクト)を中心に川合孝典組織内参議院議員や田村まみ組織内参議院議員などと連携し取り組んでいます。

全産業を対象にした公契約の適正化へ(2023年度重点政策より)公契約のもとで働くすべての人の雇用・労働条件を守り、住民がより良い公共サービスを受けられるよう、賃金保障を義務づける公契約条例を制定し、公契約の適正化を推進する。また、公契約条例の制定に当たっては、適正な労働条件を確保していくために、労働組合も参加する審議会を設置し、働く者の視点を反映させる。

賃金等の処遇改善やサービスの質を確保

2日間の出席者は、田村議員、組織内・準組織内地方議員23名など延べ60名。公契約に携わる4つの加盟組合(事業者)が人手不足や事業継続の厳しい状況を述べ、賃金等の処遇改善や公契約条例の必要性を訴えました。
また、組織内・準組織内地方議員が地域における公契約条例制定へ向けた取り組みや行政の対応、今後の課題などについて報告。さらに、「業種ごとに労働条件に関する基準を示すことが必要」「労働条件について総合評価方式(契約の見積もり)のなかで厳しく見ていくことが必要」「サービス委託契約の内容をチェックするしくみが必要」「公契約に対する具体的な国の方針や対応を知りたい」などの意見や質問が出ました。これを受けて田村議員は「まずは各自治体において公契約のもとで働く労働者にしわ寄せ(労働条件の劣悪化など)が出ていないか確認することが重要。労働者が置かれている状況や公共サービスへの影響の視点から公契約の中身を見直し、連携して取り組んでいきましょう」と述べました。
UAゼンセンは今後も組織内・準組織内議員と連携して公契約の適正化へ向けて取り組んでいきます。

田村まみ参議院議員
公契約の適正化へ思いを語る田村議員
mamiirllust

田村まみ組織内参議院議員 プロフィール

1976年生まれ。1999年、ジャスコ(現・イオンリテール)に入社。食品スーパーのマックスバリュでデイリー部門(豆腐や納豆)ひと筋に勤める。2006年組合専従(中央執行委員)。2019年7月の第25回参議院議員選挙(比例代表)で初当選。厚生労働委員会、行政監視委員会、消費者問題特別委員会などに所属。2025年実施の第27回参議院議員選挙(比例代表)の組織内候補者として、働く仲間の声を聴きながら、政策実現にまい進中。