3つの格差是正と“人への投資”を

2023闘争では、コロナ禍から脱し、物価上昇が顕著な状況のなか、加盟組合の懸命な交渉により、全体としては一段高い水準を獲得し、賃金も物価も上がる活力ある経済へ向けて一歩を踏み出しました。一方、ベア等の賃金引き上げでは物価上昇分を下回り、実質賃金の確保には至らず、大手と中小の差は広がり、組合間でも幅が生じました。いまも物価上昇は続いており、賃上げをより多くの加盟組合や組合員に広げていかなければなりません。
2024闘争では、2023闘争の賃上げの流れを継続し、長年の賃金停滞とデフレから日本経済と働く者の生活を再浮上させるため、賃金と物価の好循環を定着させるとともに、生活向上を実感できる実質賃金の引き上げを実現する必要があります。
そして、引き続き「産業間」「規模間」「雇用形態間」の格差是正にも積極的に取り組んでいかなければなりません。また、幅広い業種や職種で人材不足が深刻化しており、企業の持続的な成長のために賃上げによる人材の確保、人への投資、モチベーションの向上をはかる必要があります。

政策要請などで〝賃上げ〞環境を整備

仲間の期待に応え賃上げの流れを拡大

こうしたことから、物価上昇の見通しや中期的な労働生産性向上および格差是正を総合的に勘案し、組合員の期待に応え、社会的な賃上げの流れをつくるため、制度昇給等の賃金体系維持分に加えて4%基準、総合計6%基準の賃金引き上げに取り組んでいきます。
合わせて、UAゼンセンとしても情報発信を強化して世論喚起に取り組み、賃上げの社会的流れをけん引する役割を果たしていきます。
また、企業規模にかかわらず、原材料価格上昇や賃上げ分を適切に価格転嫁し、適正な価格で販売できる公正取引の確立を目ざして取り組むとともに、中小企業の賃上げ環境の整備へ向けた税制支援や助成金の拡充を政策要請し、その活用を企業に働きかけていきます(次号で詳細)。さらに「年収の壁」問題に対し、賃上げが働く意欲を向上させ、意欲に応じて働くことができるよう、被用者社会保険の加入拡大へ向けて労使で取り組みを進めていきます。
各組合においても組合員一人ひとりの参画を高め、すべての加盟組合とUAゼンセンがしっかりと連携して共闘の力を発揮し、賃上げの流れを広げていきましょう。