東日本大震災が発生した2011年3月11日、スギ薬局ユニオンでは、賃上げの最終交渉へ向けた中央執行委員会の真っ最中だった。名古屋でも揺れを感じ、関東のメンバーに帰京を急がせたという。当時、書記長だった小澤政道委員長は、津波の映像を見て衝撃を受け、「なにか行動しなければ」と思ったそうだ。

UIゼンセン同盟(当時)の被災地支援ボランティア活動がスタートすると、小澤委員長はさっそく行動に移し、岩手県宮古市の第7陣の派遣チームに参加。実際に被災地に立ち、被害の大きさを目の当たりにし「これから長い支援が必要だ」と考えたそうだ。

組合本部は専従9名体制で活動を推進。中央が小澤政道委員長

翌2012年に委員長に就任すると、ユニオンでなにができるか検討を始め、専従メンバーと何度も被災地に足を運んだ。安全を第一に、現地の方に迷惑をかけず自分達で完結すること、現地の〝語り部ガイド〟の方の話を聞くことを基本に、視察ツアーを実施することにした。「東海エリアに店舗が多くあり、南海トラフ巨大地震に備え、職場の仲間が防災・減災を考える機会にしたかった」と話す。また、大会や中央委員会で募金活動を行い、集約した募金は被災地のNPO法人へ寄贈することとした。2年の準備期間を経て、参加者を募集し、2014年4月に1回目の被災地訪問が実現。総勢31名が参加し、2回に分けて宮城県の石巻市と亘理町・山元町を訪れた。2年目以降は、専従役員が交代で企画・運営を担当し、福島県富岡町・いわき市、岩手県陸前高田市などを訪問。「少しでも現地の役に立ちたい」という参加者の声を受け、コットン栽培や桃農園でのボランティア作業を取り入れるなど、内容を工夫し、毎年開催している。

機関誌『絆』で視察の模様を発信し、職場の仲間へ活動を広めている

2020年はコロナが猛威を振るい、店舗ではマスクや消毒剤の販売に追われ中止を余儀なくされたが、2021年、2022年はWebで開催し活動を継続してきた。ことしの視察ツアーを担当した児嶋伸也副委員長は、「被災地は復旧から町興しへシフトしています。今回は被災地の施設を利用して復〝興〟を支援する視点を加えました」と話す。参加者はリピーターも多く、情報や学んだことを職場に持ち帰り、活動が広がっているそうだ。さらに、機関誌『絆』で活動の模様を伝え、多くの仲間に共有してもらえるようにしている。

小澤委員長は「継続していくことが大事だと思っています。万が一のときに仲間が命を守れるようにしたい」と力を込めた。

東日本大震災発生後、UIゼンセン同盟(当時)は連合と連携して災害救援ボランティア活動を展開。岩手県宮古市をメーンに2011年3月31日~7月30日まで支援活動を行った。小澤政道委員長(当時書記長)は、第7陣(5月15~21日)に参加。被害の大きさを感じながら仲間と共にガレキ撤去や住宅の床下の泥出しに汗を流した。

地元の方とのふれあいで 被災地のいまを理解する

2018年東北被災地視察 ~福島~

2018年は体験型被災地視察として福島県を訪れた。実施日を2回に分け、総勢40名が参加。1日目は語り部の方と富岡町を巡り、原発事故の現状などを聞いた。2日目は須賀川市の農園で作業を手伝った。

同じドラッグストアで働く ツルハの仲間から震災体験を聞く

2019年東北被災地視察 ~仙台~

ツルハユニオンの協力を得て、ツルハドラッグ小鶴新田店(仙台市宮城野区)を訪問。同じドラッグストアで働く仲間の震災体験を聞いた。

Webで現地とつながり 被災地ツアーを開催

2021年・2022年東北被災地視察 ~南三陸~

コロナ禍で集合型の行事の開催が難しいなか、2021年と2022年はオンラインによる視察ツアーを開催。宮城県・南三陸町の語り部の方が、町を案内しながら震災時の体験を語ってくれた。