このほど、石川県内の3つの組合を訪ね、お話を聴くことができました。そこには懸命に生活と仕事の再建をはかり、一日も早い復興を願う仲間達の姿がありました。これからも、息の長い応援・支援を続けていきましょう。

労使一丸となって復旧・復興対策に尽力する、右から山岸立也理事、梅木英雄社長、三宅保明委員長と秋葉支部長

東レグループ(UAゼンセンの仲間)の織物生産工場として各種ユニフォームなどの機能性中厚地合繊織物や産業用の炭素繊維織物を生産する創和テキスタイル。今回の地震では本社と隣接する羽咋工場は軽微な被害で済んだが、羽咋市内の釜屋工場は地盤沈下で操業不能に陥った。そんななか、会社、労働組合、働く仲間が一丸となって復旧作業に尽力。東レグループの支援もあり、4月中旬に操業再開を果たした。

釜屋工場が操業不能に 自力で復旧作業を実施

4月下旬、石川県羽咋市にある本社および隣接する羽咋工場(長・短繊維織物を生産)を訪れた。
創和テキスタイルでは、地震発生の翌日に地震対策本部を設置。復旧チーム、従業員対応チーム、操業チーム、社外連絡チームを編成し、安否確認をはじめ被災状況の把握を急いだ。

その結果、従業員や同居家族は全員無事だったが、住宅が軽度損壊や半壊などの被害を受け、避難所での生活を余儀なくされた仲間もいた。「いまも厳しい生活を続けている仲間がいます。これからもできるだけの支援を行っていきます」と三宅保明委員長は仲間を思いやる。
一方、職場では、本社および隣接する羽咋工場が天井や壁の一部が剥がれるなどの被害を受けたものの、機械の点検(左右の水平調整)の後、1月10日から稼働を再開することができた。

しかし釜屋工場では、最大で60センチ超の地盤沈下や排水管が2メートル近くズレるなどの被害が発生し、稼働停止に追いやられた。

釜屋工場正門前の道路陥没風景。
工場南側の地盤沈下の様子

長期にわたって停電が続くなか、仲間達は工事業者の手配がつかないため、自分達の力で復旧作業に当たることにしたという。1月下旬にようやく電気が復旧。その後、徐々に井水配管や上水などが復旧し、トイレや手洗いが使用可能となった。2月に入り、発泡ポリウレタンを床下に注入し、その膨張力で沈下した床を押し上げる作業を開始。仲間達の頑張りで3月末に工事を無事終了し、再開の目途が立つに至った。

仲間の頑張りで 5月中に全面稼働へ

4月中旬、釜屋工場では炭素繊維織物の生産を再開した。「機械(織機)が無事であったことは幸いでした」と三宅委員長。さらに「現在の稼働率は5割程度まで回復しています。まだ、経糸の生産ができず外部に委託していますが、5月中には全面稼働の予定です」と続ける。
取材に同席していただいた梅木英雄社長は「仲間の皆さんの献身的な頑張りにより、ここまで回復できました。感謝しかありません」と思いを込める。聞けば、1月8~10日に説明会を開催し、梅木社長が全従業員に対して被災状況や今後の取り組み、休業中の賃金保障(100%)などを伝えたという。いち早く従業員の不安を取り除き、安心してもらうことで、操業再開へ心を一つにして頑張ることができたのであろう。

仲間達による床や配管などの復旧作業の様子。インフラに被害が発生し、停電と厳寒のなかでの作業であった

復旧から復興へ 労使一丸となってまい進

最後に、三宅委員長は「徐々に正常な業務に戻りつつあります。UAゼンセンの被災見舞金などの支援や全国の仲間の皆さんからの励ましやご支援に感謝しています。これからも一致団結して頑張っていきます」と感謝の思いを伝える。
創和テキスタイルでは、地震からの“復旧”へ向けて「創和フェニックスプロジェクト」として労使で力を尽くしてきた。現在は、復旧から“復興”を目ざして「創和サンライズ(新しい始まり)プロジェクト」をスタートしている。
これだけの試練を乗り越えてきた仲間達。これまでの歴史と伝統に培われた確かな技術力と仲間の絆で、さらなる発展を成し遂げていくに違いない。