このほど、石川県内の3つの組合を訪ね、お話を聴くことができました。そこには懸命に生活と仕事の再建をはかり、一日も早い復興を願う仲間達の姿がありました。これからも、息の長い応援・支援を続けていきましょう。

中央が長克彦委員長、左は谷場蘭店長、右は秋葉石川県支部長

石川県内に100店舗を展開するクスリのアオキは、震災で多くの仲間と店舗が被害を受けた。屋根や壁が壊れ、休業した店舗は20以上に及んだという。その後、地域のライフラインを支えるドラッグストアとして復旧に尽力。一カ月足らずで全店の再開を果たした。被災した店舗の一つ、七尾古府町ふるこまち店を訪れ、長克彦委員長に発災当初からこれまでの組合や会社の取り組みについて話を聞いた。

能登の仲間達の無事を 祈り続けた元日の夜

長克彦委員長は金沢の自宅で激しい揺れに襲われた。テレビをつけると、能登地域の被害状況が映し出されていた。「皆、大丈夫だろうか!?」。すぐさま白山市の本社へ向かい、会社と連携し安否確認に取り組んだ。元日は全店休業で多くの仲間達は外出中。電波が滞り通話もままならない。「無事でありますように」。祈るしかない不安な夜を過ごした。

発災直後の様子。倒れたレジや棚から崩れ落ちたたくさんの商品が地震の激しさを物語る

翌日は早朝から仲間達が各店舗に出勤し、地域のライフラインを守ろうと、売場の修復に努め開店に備えた。一方、音信不通の仲間や被害が甚大な店舗も多く、20店舗以上が営業不可能な状態となった。

屋根や壁、ドアが壊れるなど、甚大な被害を受け臨時休業を余儀なくされた店舗も多くあった

数日後にようやく組合員全員の無事を確認できたが、交通の寸断などで出勤できなかったり、水や食料が手に入らなかったり、困窮する仲間がたくさんいた。屋根や壁が壊れた店舗もあった。クスリのアオキでは全社を挙げて支援を実施。各地から集まった仲間が車中泊で店舗の復旧、販売支援に尽力した。懸命な努力により1月中に全店で営業を再開。お客さまから「開けてくれてありがとう」などの感謝の声が届いたそうだ。

共済やメンタルケアで 被災した仲間達を支えたい

労使で話し合い、被災した仲間に対する柔軟な対応が実現した。状況に応じて避難先近くの店舗への異動や、休業を余儀なくされた仲間への特別措置、長距離通勤が生じた際の交通費支給などが認められた。
組合では被災した仲間達の経済的な安心を支えるために、UAゼンセン共済の給付申請に取り組んでいる。「見舞金制度や住宅あんしん共済(団体型)の給付は復旧に努める仲間の助けになっています」。一方、時間や気持ちに余裕がなく、給付申請ができない仲間には、根気強く寄り添い申請を促しているという。

また、今後も発生するかもしれない天災に備え、組合の共済制度の見直しや、さらには緊急事態に対応する社内制度の整備について検討を始めたそうだ。
「被災したことで情緒が不安定になるのを防ぎたい」。長委員長は仲間達の心のケアにも目を向ける。被災したり被災地で勤務したりした仲間へのカウンセラー紹介など、メンタルケアについて会社に要請している。

職場や生活の安心へ向け 仲間の輪を広げていく

震災後、組合には未加入のパート従業員から共済制度についての問い合わせが増えたという。今後はそうした仲間の組合加入を進め、活動の輪を広げていきたいと語る長委員長。そのためには役員自身が研鑽を積まなければと、UAゼンセンの新任役員研修会(中央教育センター「友愛の丘」・岡山)に参加。「組合の存在意義を心から理解した」と語る。

震災に見舞われるなか、執行委員会では2024労働条件闘争に取り組み、賃上げや緊急時の社内制度の整備について議論を重ねている

委員長は、みずから被災しながらも地域のために職責を果たす仲間達に改めて感謝する。「お客さまがケガをしなくて良かった」「ここより大変な店舗を助けて」などの言葉を聞くたびに心を打たれるそうだ。
「加盟組合の皆さんの支援に感謝します」「おかげさまで負の思いから立ち上がり、皆元気に頑張っています。石川にいらしたらぜひそんな姿を見てください」。長委員長は全国の仲間達へ熱く呼びかけた。