働く仲間の暮らしを守る〝人への投資〟を実現!

UAゼンセンは1月18日、感染拡大防止対策を徹底し、第11回中央委員会を大阪府立国際会議場(大阪市北区)で開催し、上程した「2023労働条件闘争方針」「参与の任命」の2議案を決定しました。松浦昭彦会長は「物価上昇に賃上げが追いつかなければ、再びデフレの 〝負のスパイラル〟に陥り、人件費を削減する状況が訪れる。これはなんとしても避けなければならない。皆でこの危機感をバネに賃上げにつなげていこう」と力強く訴えました。

2023労働条件闘争・賃金闘争方針
賃金体系維持分に加え4%程度・合計6%程度を決定

第1号議案「2023労働条件闘争方針」は古川大(まさる)書記長が提案し、意見1点を付して満場一致で決定した。
古川書記長は冒頭、「足下では物価が3%を超える上昇となっており、組合員の生活は急激かつ大きく傷んでいる。また、経済の回復とともに人材不足が顕在化しており、賃上げによる人材の確保や人への投資が不可欠となっている」とし、「20年以上賃金も物価も上がらない状態から脱し、生産性の伸びに応じて賃金が上がり、消費が拡大し、適正な価格転嫁のもと物価が上がる経済に転換するために、統一的運動を展開していく」と強調した。
さらに「連合と連携して、賃上げへ向けた世論喚起、適正な価格転嫁と公正取引の実現、企業の生産性向上への支援も含めた税制や助成金の拡充などの政策要請を進め、労働条件交渉を後押しする環境整備に取り組んでいく」と決意を述べた。
【2023賃金闘争】では、「組合員の暮らしを守り、生活向上を実感できる実質賃金の引き上げを目ざす」と言及。組合員の期待に応え、社会的な賃上げの流れをつくるとともに、人への投資、人材不足の対応、産業間・規模間・雇用形態間の格差是正に積極的に取り組むとし、制度昇給などの賃金体系維持分に加えて4%程度、合計6%程度の賃金引き上げを目ざすと訴えた。
具体的な要求基準は①正社員組合員=「ミニマム水準未達または水準不明の組合」は賃金体系維持分に加えて3%以上で賃金を引き上げる。賃金体系が維持されていない組合は、賃金体系維持分も含め5%以上賃金を引き上げる。加えて、人への投資、人材不足への対応、産業間・規模間の格差是正へ向け、積極的に1%程度の上積み要求に取り組む。これを超える水準の組合は、部門ごとに要求基準を設定する。②短時間組合員=制度昇給分に加えて3%以上の時間額を引き上げる。制度昇給分が明確でない場合は制度昇給分も含めた要求総率として5%以上、総額として時間当たり50円を目安に引き上げる。加えて、人への投資、人材不足への対応として積極的に1%程度の上積みに取り組む。

古川書記長

仲間の職場と生活を守り日本社会の未来を築こう
松浦会長挨拶要旨

物価上昇分プラス格差是正の賃上げを

いま、日本の経済と産業、労働者の暮らしは岐路に立っています。低賃金で物価上昇に一喜一憂する社会と暮らしを続けていくのか、それとも生活改善を実感できる暮らし、緩やかな物価上昇とこれを上回る賃金改善の好循環が生まれる経済をつくり出していくのか。望ましい姿は言うまでもなく後者です。
しかし、ただ賃金を上げればすべてが解決するわけではなく、数年、数十年継続的に賃金を引き上げていくためには、その裏付けとなる生産性の向上が不可欠です。デジタルツールの一層の活用やビジネスモデルの見直しなど企業体質の強化について、その必要性を認識し、生産性三原則の考え方にもとづいて労使協議に臨まなくてはなりません。
今回の賃上げ要求基準は、現下の物価上昇をふまえ、これまで目ざしてきた「産業間」「企業規模間」「働き方」の3つの格差是正を引き続き目ざす観点から組み立てたものです。2022年度の消費者物価上昇率は3%前後となる見通しで、多くの産業・業種で賃金水準が社会水準を下回るUAゼンセンとしては、まずこの物価上昇分を賃金引き上げ分として確保し、そのうえで格差是正を進めるために、4%程度の賃金引き上げ、体系維持分込みで6%程度の賃上げを目ざします。
今回の物価上昇は多くの内需型産業にとって収益の増加を伴わないものであり、交渉は極めて厳しいものになると思います。しかし、今次賃上げが低位にとどまれば、消費は冷え込み、内需型産業はさらなる打撃を受けることになります。また、これからを担う人材確保のためにも社会水準並みの賃金水準が必要です。短時間組合員についても、最低賃金が大きく上昇するなか、経験や能力を適正に評価した賃金の高さ、正社員との格差是正を追い求めていく必要があります。労使で徹底的に議論し、組合員の生活安定と企業の持続的発展のために賃上げを含む人への投資〟がなにより重要であることを経営に理解を求めていかなければなりません。

2023労働条件闘争方針を満場一致で決定。上は力強くガンバローを三唱する松浦会長


賃上げの促進へ政府の対策求める

岸田政権は、安倍元総理の国葬の強引な実施、統一教会問題への不十分な対応、相次ぐ閣僚の辞任などにより、支持率が不支持率を下回る状態が続いています。マスコミ等では本年5月の広島サミット後には、政権基盤強化のために岸田総理は解散に打って出るのではないかとの見立てもされています。
当面する国会では、解散云々の前に、賃上げの実現に政府はなにを行うべきかを与野党ともにしっかりと議論し、実効性ある対策を導き出してもらいたいと思います。岸田総理は「構造的な賃上げ」のために「職務給化」と「雇用の流動化」を進めると言っていますが、私は働く者の目線から的を射たものとは言い難いと思います。産業構造の変化とともに「雇用の流動化」が必要となることは否定しませんが、そのためにまず必要なのは安心して転職に必要なスキルを身に付けるための十分なセーフティーネットを構築することであり、また、その前に既存企業の抜本的生産性向上策を徹底して後押しすることが先決です。また、「職務給化」については、賃金決定に職務要素を強めることは否定しませんが、1年1年の働く者の能力向上を評価する現行の職能給的な賃金制度は決して否定されるべきものではありません。安易な完全職務給化はむしろ賃金を抑えることにつながる危険性さえあります。
すべての活動は、組合員の職場と生活を守り改善していくための活動であり、私達の社会の未来をつくり出していく重要な闘いです。精いっぱい悔いのないように、ともに闘いに挑みましょう。