“価格転嫁を促進する環境整備へ”
公正取引委員会取引部 山内 宣親 調査官
中小企業庁事業環境部 佐藤 純也 係長
公正取引委員会取引部 大坪 史典 課長補佐
労務費の価格転嫁で賃上げ原資の確保へ
公正取引委員会では、2022・2023年度に続き、2024年度に第3回「価格転嫁円滑化の取り組みに関する特別調査」を実施しました。
本調査の結果、一昨年に公表した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の認知度は全体の50%程度であることが判明。また、下請け先での価格転嫁実現に課題があることも明らかとなっています。
公正取引委員会として今後も、指針のさらなる周知をはかり、労務費の適切な価格転嫁の実現を後押ししていきたいと考えています。
中小企業における価格転嫁推進に注力
中小企業庁は、サプライチェーン全体で適切に利益を共有できる構造を実現するため、毎年3月と9月に「価格交渉促進月間」を設定。本月間の終了後には、価格交渉・価格転嫁の実施状況に対する調査を実施しています。昨年9月の最新調査では、価格転嫁の状況は改善傾向にあるものの、転嫁の有無について二極化が見られます。
より一層、自発的な価格交渉・価格転嫁を実現するため、調査結果の公表と各企業の指導に努めます。

下請法の改正により価格転嫁を促進する
現在、公正取引委員会では、有識者による「企業取引研究会」を設置。下請法の改正をつうじて、下請事業者に対する「買いたたき(親事業者による一方的に著しい低額での受注の押し付け)」への規制など、価格転嫁の実現を目ざした議論を進めています。
また、「下請」という言葉自体、中小企業から、発注側と受注側が対等な関係ではないという印象を与えるという指摘が出ています。用語の変更を含め、実効性を高める改正を目ざしています。