2024労働条件闘争では、賃金以外の総合的な労働条件の改善も着実に進展しています。そのなかから、武州製薬ユニオン(製造産業部門、医薬品製造、埼玉、1066名)、エディオン労働組合(流通部門、家電関連、愛知、9352名)、全プリマハム労働組合(総合サービス部門、フード、東京、1219名)の改善事例を紹介します。一層働きがいのある職場づくりを進めましょう。

武州製薬ユニオン(製造産業部門)

武州製薬は、国内および海外56カ国に医薬品を提供し、人々の健康と豊かな生活に貢献している。

このたび、武州製薬ユニオンは総合的な労働条件の改善として「人材活用の推進」「メンタルヘルスに関する教育の拡充」「障がい者支援の推進」などの成果を上げた。

労働組合では、昨今の人員不足、人がなかなか定着しない部署があることなどを背景に、安心して長く働き続けられる職場環境の改善や、各人が自己実現を果たすことができる人材育成の強化(計画的な能力開発支援や社内のキャリア形成支援の充実など)を会社に求めてきた。今回の成果について、夏川由美子委員長は「労使交渉のなかで、会社としても仲間達に長期にわたって安定して働いてもらいたいという思いを感じました」と語る。

具体的に「人材活用の推進」では、全体的な教育計画の開示や「DiSC(行動分析)研修」の拡充、また階層別(新入社員、管理職、女性社員、中途入社者など)に計画的な教育・研修の実施などを実現した。「ニーズに応じた研修・セミナーの開催など教育・研修の拡充で多くの仲間が参加できるようになりました」と夏川委員長。とはいえ、とりわけDiSC研修は基本的に選抜制であり、全員が希望する研修・セミナーを受講できるわけではなく、「引き続き会社と話し合い、教育・研修のさらなる充実を目ざしていきます」と意欲を語ってくれた。

また、「メンタルヘルスに関する教育の拡充」については、会社が従業員を対象に行ったアンケート調査で要望が多かったことをふまえたもの。本年4月から産業保健総合支援センターと連携を開始し、5~8月にかけて川越工場、美里工場、会津工場で当センターの講師によるメンタルヘルスに関する研修会を実施した。終了後には参加者にアンケート調査を実施し、「研修会を継続してほしい」「階層別に実施してほしい」「実践を取り入れてほしい」などの声が上がっているそうだ。今後も労使で意見や要望を共有・分析し、来期以降の研修内容を検討していく予定である。

加えて、ポリテクセンター(職業能力開発促進センター)と連携し、ストレスチェック後のアクションプラン作成に関する管理職向け研修会の開催を9月に予定している。

「障がい者支援の推進」では、障がい者職業生活相談員を本年度中に2名増員するとともに、企業在籍型ジョブコーチ(職場適応援助者)を配置するなど、障がい者に対する支援・相談体制を確立した。

労働組合では今回の成果を職場代表委員会で報告。職場委員をつうじて仲間達へ報告・共有するとともに、機関紙『組合ニュース』で周知している(会社は社内イントラネットで通知)。

最後に、夏川委員長は「これからも皆さんが安心して長く働き続けられるように子育て支援制度や女性が活躍できる環境の整備に注力していきたい」と今後の抱負を語る。現在、この一環として労使で企業提携型保育園の提携推進や「えるぼし」認定(女性活躍推進に関して優良な事業主を厚生労働大臣が認定)取得へ向け、取り組みを進めているところである。

【トップ写真】昨年の定期大会のひとコマ