UAゼンセンの取り組みが実り、現在、国・地方自治体の両方において、悪質クレーム行為等の「カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)」対策に関する議論が進んでいます。5月29日、田村まみ組織内参議院議員は、川合孝典組織内参議院議員と連携し、議員立法でカスハラ対策を盛り込んだ法案を参議院に提出しました。直近の取り組みと合わせて内容を紹介します。

上は参議院の小林事務総長に法案を手交する田村議員

組合員の〝声〟でカスハラ対策が前進

UAゼンセンは、流通・サービス業の働く仲間の切実な声を受け、川合孝典・田村まみ両組織内参議院議員や全国の組織内・準組織内地方議員と連携し、カスハラ撲滅へ向けた取り組みを展開しています。

現在、6月末まで展開している「まみに聴かせてキャンペーン」においても、これまで「カスハラ行為による従業員の心労が多い」(50代・鹿児島県)「カスハラから従業員を守るための政策実現が必要」(40代・北海道)など、カスハラ対策の強化や法制化を求める声が数多く届いています。
これらの働く仲間達の声をふまえ、地方自治体での取り組みも進んでいます。

5月8・13日の両日、UAゼンセンでは、Webを活用し、組織内参議院議員と組織内・準組織内地方議員をつなぎ、「カスハラ対策」に関する情報交換会を実施。各自治体での議論状況やカスハラ対策関連の条例策定へ向けた取り組みを共有しました。また、田村議員は「各自治体での取り組みは、国会における政策実現の後押しになる。カスハラ対策の法案をつくり、事業者や業界団体によるルール策定を義務づけていきたい」と決意を語りました。
その後、本情報交換会を受けて、田村議員は所属する厚生労働委員会(5月14日)や予算委員会(5月22日)において、相次いでカスハラ対策関連の質疑を行いました。

予算委員会で岸田総理大臣に対して、カスハラ対策の法制化を求める田村議員

とくに、予算委員会では、岸田文雄内閣総理大臣に対し、「全国の自治体でカスハラ対策の推進が進んでいる。一方、従来の法制度では、業界団体によるルール策定が困難であるという課題がある。従業員・事業者を守るためには、カスハラ対策の法制化が必要」と訴えました。これに対し、岸田総理大臣は、「専門家による議論もふまえ、カスハラ対策を検討していく」と回答しました。

“従業員・事業者をカスハラから守る法律を”

カスハラ対策の法制化を目ざして

5月29日、これまでに寄せられた組合員からの声や地方自治体でのカスハラ対策の進展をふまえ、田村議員は参議院に対し、カスハラ対策を盛り込んだ議員立法「消費者対応業務関連特定行為対策の推進に関する法律案」を提出しました。

働く仲間達から、カスハラ対策の法制化を求める声が届いていることを訴えた。提出後は院内で記者会見を実施した

田村議員は、川合議員、国民民主党の玉木雄一郎代表らとともに参議院の小林史武事務総長に法律案を手交。「現在、カスハラは社会問題としても国民の注目を集めています。消費者の利益を守りながら、従業員や事業者をカスハラから守るために、対策の法制化が必要」と訴えました。

さらに、法案提出後、参議院内で記者会見を実施。田村議員はUAゼンセンが集約中のカスハラ実態のアンケート調査に言及し、「これまでUAゼンセンにおいて、さまざまなカスハラの具体例が集約されてきました。このなかで、SNSでの投稿・拡散やプライベートでの付きまといなど、カスハラ行為の悪質化という実態が明らかとなっています。本法案によって公労使でカスハラ対策を協議し、総合的に推進する枠組みをつくりたい」と語りました。

本法案では、カスハラ行為を「消費者対応業務関連特定行為」という形式で定義し、消費者の利益に配慮しつつ、事業者が主体的に取り組むべきカスハラ対策を示しています。また、国の責務として、基本方針の策定・変更や定期的な実態調査を明記しています。

カスハラ対策法案はこれまで2回、川合孝典・田村まみ組織内参議院議員が国会に提出しましたが、審議されずに廃案となりました。社会の関心の高まりを力として、早期の法制化実現を目ざしていきます。

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田村まみ組織内参議院議員 プロフィール

1976年生まれ。1999年、ジャスコ(現・イオンリテール)に入社。食品スーパーのマックスバリュでデイリー部門(豆腐や納豆)ひと筋に勤める。2006年組合専従(中央執行委員)。2019年7月の第25回参議院議員選挙(比例代表)で初当選。厚生労働委員会、予算委員会、消費者問題特別委員会などに所属。2025年実施の第27回参議院議員選挙(比例代表)の組織内候補者として、働く仲間の声を聴きながら、政策実現にまい進中。