日本の家庭で本格的タイフードが楽しめる

タイ料理の魅力は、辛さ、酸っぱさ、しょっぱさ、甘さのハーモニーと言われます。読者の皆さんのなかにも、そんな味わい深いタイ料理のファンが多いのではないでしょうか。グリーンカレーなどのタイカレーをはじめ、ガパオやトムヤムクンスープなどの本格的なタイフードを、手軽なレトルトパウチにして日本の食卓に届けているUAゼンセンの仲間を紹介します。三重県桑名市のヤマモリ労働組合を訪ねました。

創業は1889(明治22)年 日本のレトルト技術をリード

NASAが宇宙食用に開発したレトルトパウチ食品。1969(昭和44)年、アポロが月面着陸に成功し注目が集まるなか、ヤマモリはレトルト殺菌装置を自社開発し、日本初のレトルト釜めしの素を発売した。その後も技術改良と新製品の開発を進め、現在では年間1.9億袋を出荷、国内のレトルト食品生産量の約1割を占めている。

大人気商品グリーンカレーの巨大パッケージを抱える余語正徳委員長。総合食品メーカーのヤマモリでは、業務用・家庭用のレトルトパウチ食品や調理食品、飲料などを製造している。

本格レトルトタイカレーを発売 現在、10種類を展開中

2000(平成12)年には長年培った技術を生かし、レトルトのタイカレー(グリーン、レッド、イエロー)を新発売。ヤマモリでは80年代後半からタイでアジア向けのしょうゆの製造・販売を行うなかでタイ料理の奥深い魅力と出会い、「日本に広めたい」という思いで開発担当者が現地で研究を重ね商品化にこぎつけたもの。スーパーやコンビニで手軽に購入することができ、年々人気が高まっている。

〝食のオリンピック〟モンドセレクション金賞受賞
世界的な品評会であるモンドセレクションで、ヤマモリのグリーンカレーは2009年から2022年まで14年連続金賞を受賞。レッドカレーも8年連続金賞に輝いている。

タイの自社工場から日本の食卓へ おいしさと安心・安全を届ける

タイカレーをはじめとするヤマモリのタイフードは、タイの自社工場(写真)で製造し、日本に海上輸送している。日本と同じ生産設備・生産技術・品質管理を徹底したレトルト工場では、日本から赴任したヤマモリの仲間が指導に当たっている。タイ料理の命とも言えるパクチーなどのハーブは指定農場で栽培し、フレッシュな状態で使うのが本格的おいしさの秘けつ。

家庭で楽しむオトナの 本格タイ料理

ヤマモリ タイカレ ーのアレンジレシピ

電子レンジで温めるだけで、本場の味が楽しめるヤマモリのタイカレー。そのままでももちろんおいしいですが、ヤマモリのホームページには豊富なアレンジレシピが紹介されています。さっそく編集部でつくってみました。

グリーンカレーつけうどん(Green Curry Noodle)

材料(1人分)
ヤマモリタイカレーグリーン……1パック
3倍濃縮つゆ……大さじ2
冷凍うどん……1人分
万能ねぎ*小口切りにする……適宜

作り方
1. 冷凍うどんはゆでるか電子レンジで加熱してから冷水でしめ、水気を切って皿に盛る。
2. 鍋で「タイカレーグリーン」と3倍濃縮つゆを混ぜ合わせて温め、器に入れて万能ねぎを散らす。
3. ②のつゆに①のうどんをつけて食べる。
*残りのつゆにお湯を適量加え、蕎麦湯のようにして飲んでも美味。

【コメント】
青唐辛子の本格的な辛さと、ココナッツミルクのまろやかな甘みのバランスが格別なグリーンカレー。めんつゆと合わせることで、和風のアレンジが効き、うどんとの相性も抜群に。

イエローカレーの炊き込みごはん(Yellow Curry Cooked Rice)

材料(2人分)
ヤマモリタイカレーイエロー……1パック
米……1合
水……100cc
パクチー……適宜ヤマモリナンプラー…… 小さじ1+1/2

作り方
1.米を研ぎ、30分浸水させておく。
2.厚鍋に米と水、ナンプラーを入れて混ぜ、その上に「タイカレーイエロー」をかける。
3.強火にかけ、沸騰したら極弱火にして15分加熱。火を止めて15分蒸らす。ふたを開け、パクチーをトッピングする。

【コメント】
ホームページでは、メスティン(飯ごう)を使ったレシピが紹介されていますが、厚手の鍋でも簡単につくることができました。本場のハーブとスパイスがごはんに浸透し、噛むほどに旨味が広がる一品。

レッドカレーのパングラタン(Red Curry Bread Gratin)

材料(2人分)
ヤマモリタイカレーレッド……1パック
フランスパン……80g
トマト……1個
ピザ用チーズ……30g
パセリ(お好みで 適宜)

作り方
1.電子レンジまたは鍋で「タイカレーレッド」を袋のまま温める。
2.フランスパンを食べやすい大きさに切り、グラタン皿に並べ、その上に①を全体にかける。(※赤唐辛子とこぶみかんの葉は取り除いておく。)
3.トマトは5mm幅に切り、②の上に重ならないように並べチーズを乗せる。
4.オーブントースターで全体に焦げ目がつくまで焼き、お好みで細かく刻んだパセリを散らす。

【コメント】
レッドカレーの辛さが、チーズを加えることでマイルドになります。トマトやパンとの組み合わせで、洋風の一皿に大変身。辛さとコク、旨味を同時に感じられます。

春雨のプーパッポンカレー炒め(Fried Vermicelli, Crab & Egg Curry Sauce)

材料(1人分)
ヤマモリタイカレー プーパッポン……1パック
春雨……50g
万能ねぎ*2cmの幅に切る……2本

作り方
1.春雨は沸騰した湯で5分ほどゆでて水気を切っておく。
2.「タイカレー プーパッポン」を袋から出してフライパンに入れ温める。
3. ①の春雨を加えて混ぜ、最後に万能ねぎを加えたら出来上がり。

【コメント】
ゆでた春雨と混ぜるだけで、本場・タイの屋台の味が簡単に再現できます。カニの旨味と卵の柔らかな食感は、春雨によくなじみ、おつまみにもおススメ。

★使用したヤマモリタイカレーは、いずれも内容量180g/希望小売価格370円(税別)。

ヤマモリのタイフードシリーズを使ったアレンジレシピを多数掲載。ヤマモリのホームページをチェックしてください。

食への情熱とチャレンジ精神で成長を続ける【ヤマモリ】

毎日の食卓を彩るヤマモリの製品

JR・近鉄の桑名駅から車で15分ほど走ると、食品関係の製造工場が並ぶ「陽だまりの丘」に到着した。その一画に、ヤマモリの本社と大山田工場が建つ。製薬会社並みの徹底した衛生管理を行う最新鋭の工場では、私達にとっておなじみの、そばつゆや冷やし中華のたれなどの液体小袋製品が生産されている。
広報部の小林賢吾さんから、ヤマモリの歴史や製品について伺った。桑名の地でしょうゆ醸造業を興し、まもなく創業135年。国内では大山田工場のほかに、本醸造しょうゆの伝統を守る桑名工場と日本最大級のレトルトパウチ食品工場の松阪工場を展開している。さらにタイフードを日本に紹介、タイカレー市場では国内シェアナンバーワンを誇り、タイと日本の食の架け橋を担っている。以前はタイ料理が苦手だった小林さんも、ヤマモリのタイカレーの大ファンだそうだ。大きな成長を遂げた背景には、果敢にチャレンジする社内風土があると小林さんは語る。

レトルト食品のさきがけ
常温で長期間保管でき、すぐに温めて食べられる便利なレトルトパウチ食品。ヤマモリではレトルト殺菌装置を自社開発して釜めしの素やミートソースを発売し、全国の家庭でよろこばれた。

アイデアが光る新製品に注目を

日本初のレトルト釜めしの素は、発売から半世紀以上も愛されるロングセラー商品。時代とともに減塩(健康志向)や包装削減(地球環境・SDGs=持続可能な開発目標)などに取り組み、つねに進化を続けている。

ヤマモリでは、OEM(他社から委託され、相手先のブランド名で製造)が生産の大半を占めているが、自社ブランド商品の拡大にも力を入れている。昨年発売した「名古屋丼」シリーズも大評判。本社内にある開発研究所では、いまこの瞬間も、私達を幸せにする新製品が誕生しているに違いない。

健康への提案を進める
高めの血圧を下げる機能性表示食品GABA(ギャバ)を含んだしょうゆやつゆ、砂糖を一切使わず糖質を90%カットしたすき焼のたれなど、おいしさはそのままに健康に配慮した製品を次々と発表している。砂糖無添加の黒酢、食塩不使用のレトルトカレーも評判。

名古屋丼シリーズ新発売
名古屋人が愛する台湾ミンチやどて煮をレトルト丼にした名古屋丼シリーズは三林圭介社長がみずから構想した新製品。“Be a venture(ベンチャーマインドを持とう!)”という呼びかけとともに、働く仲間達の挑戦を後押ししている。

製品に愛情と誇りを持ち、強い絆で結束ヤマモリ労働組合の仲間

力を合わせてより良い製品づくりに励む

ヤマモリ労働組合は3月末に結成丸17年を迎えた。組合員数は515名で、正社員に加えて150名以上のパートタイマーの仲間も組合に加入しているという。「各工場では、全員で力を合わせて製造に当たっているので、組合にも多くのパートの仲間に入ってもらっています」と語る余語委員長。コロナ禍でレトルト食品の需要が増したときも、感染対策に気をつけながら力を合わせて乗り越えてきたそうだ。「早く以前のように組合イベントを開催し、皆で交流したい」と力を込める。日ごろは大山田工場で現場係長として製造管理に当たっている余語委員長の、一緒に働く仲間への思いが伝わってきた。

賃上げ交渉を目前に控えた3月11日、ヤマモリ労組は臨時大会を開催し、要求項目を確認するとともに勝利を誓い合った

デジタルを活用し、自由な時間を生み出す

2023労働条件闘争の標語が最優秀作品に選ばれ、UAゼンセン総合サービス部門や三重県支部の仲間達からたくさん声をかけてもらったと照れる余語委員長。「デジタルで広がる働き方の多様性 広がる仕事の可能性」という標語には、コロナ禍で急速に進んだデジタル化によって仕事の仕方が変わり、「省力化によって生まれた時間で、いままでできなかったことができる」という実感を込めたそうだ。組合でもオンラインの会議システムを導入することで、コロナ禍でも工場や支店とコミュニケーションを取ることができたと話す。
一方で、商品のおいしさを決める調理などの重要な製造工程においては、「人の力が不可欠」と語った。

賃上げの期待に応え、仲間の生活を守る

「かつてない物価高の影響は大きく、組合として、なんとしても組合員の生活を支えていかなければならない」と決意を込める余語委員長。食品業界においてもコスト高は深刻で、状況は厳しいが、「適切な価格転嫁を進め、組合員の賃上げの期待に応えられるよう団体交渉に臨みたい」と語る。本誌が職場に届くころには、仲間達に笑顔が広がっていることを心から願う。

ヤマモリ労組執行部のメンバー