Ⅱ. 働く仲間を「万引き犯罪」から守る
流通部門「万引き防止対策アンケート」結果(抜粋)
UAゼンセン流通部門では、スーパーマーケットや百貨店、ドラッグストア、家電量販店など、各業種における万引き犯罪の実態と影響、「万引き」防止対策の実施状況を把握することを目的に、「万引き防止対策アンケート調査」を実施。全国の働く仲間達から多くの回答と現場の実態を伝える切実な声が寄せられました。



回答者のうち、33.7%の組合員は「店舗で万引き犯を見つけたことがある」と回答しています。「(上司・同僚等から)店舗で万引きがあることを聞いたことがある」という回答(49.9%)と合わせると、実に83.6%が店舗における万引きを認知している状況が明らかとなりました。
後述の寄せられた声と合わせて考えると、店舗は慢性的に万引きの課題に直面していると推察できます。


一方で、「従業員として万引き防止(対応)にかかる負担感」を聞いた設問では、「極めて重いと感じる」(11.6%)や「重い負担感がある」(22.3%)といった回答が多く寄せられました。これに「軽い負担がある」(20.4%)を含めると、54.3%が万引き対応になんらかの負担感を覚えていることになります。通常の業務に加え、万引き対応が働く仲間の負担として重くのしかかっています。

具体的に、現場の働く仲間が抱えている負担感の内容に関する設問では、「万引き後のロス調査」が59.5%と最多となりました。このほかには、「警察への届け出(対応時間等)」(55.6%)や「会社への報告義務」(49.9%)が続きます。万引き犯罪による多くの負担が現場を圧迫していることは明らかです(下図参照)。
また、「身体的な危険を感じた」という回答が22.6%を占めていることも見過ごせません。職場内で、安心・安全な環境をつくる必要性が高まっています。



- 店舗で、大きめのエコバッグなどを口が開いた状態で持っているお客さまを見ると、「万引きするのではないか」と疑ってしまい精神的に疲弊する。(住生活関連)
- 不審者の行動を追ったり、声かけをしたりすることに時間を取られる。(ドラッグ関連)
- 店舗の広さや死角の多さに対して従業員が足らず、手が回らない。(ドラッグ関連)
- つねに「万引き」があることを前提に働かなければならない。入店拒否のリストを作成して対応することに疲弊している。(GMS)
- 基本的に万引き犯は現行犯で捕まえなければならない。また、相手が万引き行為を認めない場合、警察での調書作成などに時間がかかる。行為者から不当に恨まれることもストレスになっている。(スーパーマーケット)
- 自分の親や祖父母世代の万引き犯に対応すると、つらい気持ちになる。(GMS)
- 万引き犯と接することで、身体的に危険が及ぶことがないか不安。(スーパーマーケット)
- 万引き犯から恨まれ、待ち伏せされたことがある。(GMS)
- 万引き行為を警備に連絡した際、万引き犯からスマホで撮影された。インターネットなどで画像がさらされないか不安を感じた。(GMS)
切実な声に応える政策実現は急務
Ⅲ. 万引き犯罪防止対策の法整備へ―
安心・安全な職場をつくる
仲間を守る政策実現へ
流通部門では、前述のアンケート調査の結果をふまえ、安心・安全に働き続けられる職場環境の構築へ向けて、万引き犯罪・大量窃盗防止対策を推進しています。具体的には、「3つの視点」を掲げ、職場の環境改善にとどまらず、労働条件の向上や地域の治安維持・改善につなげることを目ざしています。
具体的に、2020年7月には、労使での万引き犯罪防止へ向けて、流通部門として「万引犯罪防止対応マニュアル」を作成。このほか、厚生労働省や警察庁など関係省庁への要請も重ねています。加えて、都道府県支部や組織内国会議員・地方議員と連携し、国政・地方行政の両方で、万引き犯罪防止対策の強化や法整備へ向けた活動を展開しています。

万引き犯罪に苦しむ働く仲間をゼロに!
万引き犯罪をなくしていくためには、社会全体へ向けた周知・啓発活動なども必要です。流通部門は、これらの活動を推進するイメージをロードマップの形式で示し、労使のみならず消費者など、社会全体に広げる形で、万引き犯罪防止へ向けた活動を展開しています。
また、下記に示したとおり、「法制度」「行政」「社会」「消費者」「労使」などの観点から主体と具体的な対策を明確にし、万引き犯罪・大量窃盗がない社会の実現を目ざしています。
万引き犯罪で苦しむ働く仲間をゼロにするためには、私達1人ひとりが声を上げ続け、この取り組みを支えていくことが重要です。引き続き、万引き犯罪防止へ向けた取り組みに注目し、応援していきましょう。


組織内国会議員・地方議員との連携で対策が前進
川合孝典組織内参議院議員
被害届の簡素化など従業員の負担軽減を求める
2022年6月10日、川合孝典組織内参議院議員は法務委員会で、万引き犯罪を防止する対策の必要性を提起し、対策強化を求める国会質問を行いました。川合議員は、現場から寄せられている声として、「警察に通報した際に、調書作成などに時間がかかるため、『通報を控えている』といった実態がある」と提起しました。これに対し、古川禎久法務大臣(当時)は、「現在、被害届の様式を簡易にしたり、事情聴取時に被害者側の事情に配慮したりするなどの対応を進めている。引き続き、被害者の負担軽減に配慮しつつ、必要な捜査を適正に推進するよう、都道府県警察を指導していく」と応じました。

田村まみ組織内参議院議員
国政と地方の連携で「万引き」撲滅を目ざす
2023年8月1、3日の両日、田村まみ組織内参議院議員は、組織内・準組織内(当時)の地方議員との情報交換会(Zoom)に参加。延べ54名の参加者と、地域の現状や課題について意見を交わしました。出席した地方議員からは、地域における万引き防止キャンペーンの実施や啓発用動画・ポスターの作成など、各地域の事情に応じた取り組みが報告されました。また、田村議員は、「組織的窃盗」に対する刑罰が軽いという課題を指摘し、「重刑化へ向けて法案を提出した(後に廃案)。引き続き、現場が疲弊することがないように、情報共有をしながら、国政と地方行政の両輪で万引き防止対策を展開していきたい」と呼びかけました。

堂込まきこ組織内参議院議員
店舗における対応を後押しする政策実現へ
堂込まきこ組織内参議院議員は本年4月14日、内閣委員会で質疑を行いました。堂込議員は、大量窃盗の現状を取り上げ、「大量窃盗は、これまでの万引き対策では対応しきれず、流通現場において大きな負担となっている」と指摘。これをふまえ、「警察による広域的な連携や組織犯罪としての摘発、被害情報の共有などの対応をお願いしたい」と強調しました。また、「セルフレジ普及など、社会の変化をふまえ、AIやカメラ技術の活用や防犯設備導入への支援などが必要」と訴えました。これに対して、赤間二郎国家公安委員長は、「引き続き、関係省庁や業界団体と連携しながら、必要な対応を進めていきたい」と応じました。

UAゼンセン群馬県支部
万引き犯罪をなくすため現場の実態を“直接”届ける
本年6月17日、UAゼンセン群馬県支部(蒲原清天支部長)は、「2026暮らしフォーラム」を開催。このなかで、山本一太県知事に対して、「万引き犯罪防止対策の強化」を求める要請を行いました。本要請では、防犯機器導入に対する助成金制度や万引きの背景となる孤独や貧困、病気などに対する福祉的・医療的なサポートの必要性を訴えました。また、参加者からは、「県としてエコバッグの正しい使い方を周知してほしい」「適正な声かけがカスタマーハラスメントにつながらないか不安」といった声が上がりました。これに対して、山本県知事は「各店舗周辺の状況を確認し、県警本部と連携して対応していく」と回答しました。

