ジェンダー平等を推進し、多様性を認め合う社会の実現へ向け、連合は3月6日、毎年恒例となっている「3・8国際女性デー」中央集会を開催しました。集会で、UAゼンセンの永島智子会長が基調講演を行いました。その要旨をお届けします。
リーダーに期待すること
〜他人を変えることは難しい 自分はいつでも変えられる〜
日本の女性参画は先進国で最下位
リーダーを誕生させるにあたって、男性リーダーの皆さんは、「女性にリーダーをお願いしてもなかなか受けてもらえない」と話します。女性リーダーの皆さんは、「男性リーダーの意識が変わらないと難しい」と話します。両方の側面をふまえ、現状と課題および解決の方向性についてお話ししたいと思います。
まず、日本の男女共同参画が国際的にどのくらい進んでいるのか見てみましょう。

世界経済フォーラムが毎年、世界各国の男女格差の現状をもとに評価する「グローバルジェンダーギャップ・レポート」を発表しています。経済・教育・健康・政治の4つの分野のデータをもとにジェンダー・ギャップ指数を算出しています。
日本は、2006年は80位でしたが、2023年は146カ国中125位で、先進7カ国のなかでは最下位になりました。これはどういうことなのでしょうか。日本では男女平等について、あまり問題としてとらえてこなかった結果だと感じています。
4つの分野別に見ると、教育と健康は1位で世界に誇れる水準ですが、経済活動への女性の参画は0.561と低く、さらに低いのが政治分野です。責任あるポジション(意思決定できる役割)に圧倒的に女性が少ないという状態を表しています(別項参照)。日本の衆議院の女性議員の比率は、昨年の改選前は9.9%で、改選後は15.7%に増えましたが、それでも465名中73名です。参議院は25.4%で衆参両院合わせて19%と改善しましたが、世界との差は歴然としています。経済分野にも課題があり、女性の就業者は44.5%と他国と大きく違わないものの、管理職となると断然低く、米国の41.1%に対して日本は13.3%です。
昨年は女性議員の増加などでジェンダー・ギャップ指数は若干改善し118位になりましたが、よろこべる状態ではありません。
労働組合から世界に誇れる日本へ
労働組合の役員も男性が多い現状
労働組合の女性役員の比率も高くありません。UAゼンセンを例に挙げましょう。UAゼンセンは、約2200組合・190万名超の仲間が集う産業別労働組合(産別)で、生活に関連する多種多様な産業で働く仲間がいます。雇用形態も多様でパート、有期契約、派遣などで働く仲間が6割を占めています。組合員の構成比は女性63.2%(正社員組合員13.8%、短時間組合員49.4%)、男性36.8%(正社員組合員24.9%、短時間組合員11.9%)ですが、加盟組合の執行委員構成比は、女性26.7%、男性73.3%で、性別に比例した役員構成になっていません。

日本の労働運動が変わるチャンス
活動を決める場に男女のリーダーを
こうした現状をふまえ、私達は“どうありたいか”です。ジェンダー平等を進めるなかで、男性メインで私達の活動を議論し、決めることは本当に問題ないのでしょうか。各組合をはじめ、産別や連合、ひいては労働界全体の活動を決める場には男性も女性も一定数いることが自然です。しかし、いまだに男性が多い状況が続いています。
時代は変化し、私達の先輩である郷野晶子さん(UAゼンセン参与)がITUC(国際労働組合総連合)の会長としてグローバルに活躍しています。また、連合では芳野友子会長が活躍し、労働界も相当変わりつつあります。リーダーに女性も男性もいることがより多様なリーダーシップにつながると思います。
なぜ女性が意思決定の場に少ないのかを考え、あるべき姿へ向けて積極的に増やす施策や、増やせる変化を起こすことが重要だと感じています。
現状の女性参画への課題を解決するには、“自分が変わる”ことが一つの方向性です。他人を変えるのは大変難しいですが、自分が変わろうと思えば、すぐに取り組めるのではないでしょうか。
労働界は良くも悪くも縦社会です。組合活動を推進するなかで、一生懸命提案しても取り上げてもらえないなど、悔しい思いをしてきた方も多いのではないでしょうか。これは女性に限らず、男性や若手も同じような経験をしていると思います。
組織の大きな活動の方針に本気で関わろうと思ったら、決定権を持つリーダーを目ざすべきだと考えます。
労働界、労働組合こそ変化が遅いことを自覚するべきです。いまは変化に対応していけないと生き残っていけません。新しい価値を創造できるリーダーが、いま求められていると思います。
さらに、世代交代が激しく起こっていると感じています。個人的に日本の労働運動が変わる千載一遇のチャンスととらえています。

【永島智子会長プロフィール】
大阪府出身。1993年ニチイ(後のマイカル、現イオンリテール)入社。マイカルユニオン書記長、イオンリテールワーカーズユニオン委員長を経て、2018年10月、イオングループ労働組合連合会会長に就任。UAゼンセン副会長・流通部門長、日本労働組合総連合会(連合)中央執行委員、UNIグローバルユニオン商業部会副議長などを歴任。UAゼンセン第13回定期大会で会長に就任。
自分の意志で活躍する女性議員
無意識の偏見を捨て見える景色を変えよう
「女性は前に出たがらない」「決断力がない」「政治に対して関心が薄い」などと言われますが、そんなことはありません。
こういう話が出たときに、私がいつも例に挙げるのがUAゼンセンの組織内参議院議員として活躍している2名の女性議員です。田村まみ議員と堂込まきこ議員に、それぞれ立候補をお願いした際、彼女達はその場で、自分の意志で立候補することを決断しました。
アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)を捨てることが必要です。さらに、意図的に見える景色を変えるのも一つの方法です。まず、男性リーダーの皆さんは、次は女性をトップリーダーにしようと考えてみてください。男性と女性が交互にトップリーダーを務めることで、見える景色がガラリと変わります。
リーダーにふさわしいかどうかはジェンダーに関係ありません。労働組合がさまざまな世代から認められる素晴らしい組織となるよう、皆さんと共に労働運動を発展させていきたいと思います。

【田村まみ組織内参議院議員プロフィール】
1976年生まれ。99年ジャスコ(現イオンリテール)入社。2006年組合専従(中央執行委員)。2019年7月の第25回参議院議員選挙(比例代表)で初当選。本年7月実施の第27回参議院議員選挙(比例代表)の組織内候補者として、働く仲間の声を聴きながら、政策実現にまい進中。
【堂込まきこ組織内参議院議員プロフィール】
1975年、茨城県阿見町生まれ。98年ジャスコ(現イオンリテール)入社。2007年から組合専従。イオンリテールワーカーズユニオン副委員長、UAゼンセン茨城県支部運営評議員などを歴任。2022年7月の第26回参議院議員選挙(茨城県選挙区)で初当選。
