職場の負担を共有し防止対策の強化へ

UAゼンセンは政策・制度実現を目ざして、組織内国会議員の出席のもと、さまざまなテーマで組織内・準組織内地方議員との情報交換会を適宜開催しています。8月1、3の両日、田村まみ組織内参議院議員が出席し、万引き防止対策の推進・強化へ向け、情報交換会(Zoom)を開催しました。

増加傾向にある「万引き」犯罪

「万引き」は窃盗罪に当たり、10年以下の懲役または50万円以下の罰金という刑罰が課せられる犯罪行為です。
国内の万引きによる推定被害総額は年間4600億円超とされています(万引防止官民合同会議2010年発表)。また、近年のエコバッグ利用者の増加やセルフレジの急増などを背景に、刑法犯に占める万引きの割合は13・9%と増加傾向にあります。そして、これに伴い、職場における万引き対応(警察への届け出や万引き後のロス調査など)の負担が増加しています。
これに対し、UAゼンセンは2020年7月に「万引犯罪防止対応マニュアル」を作成。2022年5月に万引き防止対策として川合孝典組織内参議院議員と田村まみ組織内参議院議員と連携し、万引き犯罪の罰則強化、万引き犯の情報ネットワークの構築、万引き事件処理の合理化・簡素化などを求めて法務省、警察庁、厚生労働省へ要請活動を行っています。また、同年6月には、川合議員が法務委員会で、万引き犯罪に対する前科主義にもとづく運用の見直しや被害届提出などの手続きの簡素化などを訴えました。
2023年度重点政策においても万引き犯罪防止対策の強化(別項)を掲げ、取り組みを進めています。

啓発・要請活動 高齢者対策など

二日間の出席者は組織内・準組織内地方議員35名を含め、延べ54名。田村議員が進行を務めました。まず流通部門の桂義樹副事務局長が万引き犯罪の現況、UAゼンセンの万引き対策の取り組み、流通部門が2022年12月に実施した万引き防止対策アンケート調査の結果、今後の取り組みなどについて説明しました。

万引き防止へ実現すべき政策項目(2023年度重点政策より)
◇万引き犯罪の罰則強化、適正な運用
◇万引き犯の情報ネットワークの構築
◇万引き事件処理の合理化・簡素化
◇防犯機器に対する補助金の支給
◇ネットにおける盗品取引などに関する通報システムの整備
◇万引き依存症に対する支援の強化


続いて、組織内・準組織内地方議員が、地域における万引き防止キャンペーンの実施や啓発用動画・ポスターの作成、県警本部に万引き防止対策における補助金支給や調書作成時間の軽減などを求める要請活動などの事例を紹介。また、「小売業における万引き犯罪は高齢者が多い。この背景に高齢者の貧困や孤立問題があるのではないか」「万引き犯に対応する警察の所管は都道府県であり、市町村レベルでの対応は難しい」「法務省は被害届などの手続きの簡素化を一層進めていくとのことであるが、具体的にいつ、どうなるのか」「万引き犯の依存症に関する情報を知りたい」などの意見や質問が出ました。
さらに、田村議員が組織的窃盗(万引き)の刑罰について、他の刑法と比べても量刑が軽く、重刑化へ向けて刑法改正を求める法案を先の通常国会に提出した旨を報告。そして、万引き対策で現場が疲弊している状況をふまえ、皆で情報を共有し、万引き撲滅に取り組んでいきましょうと締めくくりました。
今後もUAゼンセンは組織内・準組織内議員と連携して万引き防止ヘ向けて取り組んでいきます。

【トップ写真】万引き防止へ皆で連携していこうと語る田村議員と、オンラインによる情報交換会の様子