コロナ禍後の外出増加や犯罪の巧妙化・凶悪化などで、住宅への侵入窃盗に対する備えがますます重要となっています。そこで、セキュリティのプロから、空き巣対策を中心に、すぐにできる自宅の防犯対策について解説していただきました。
わが家の防犯万全に!
講師 東急セキュリティ株式会社 澁澤 智也 氏
侵入窃盗や特殊詐欺の防止へ向け、防犯セミナーの実施や警察署との連携などに尽力している。防犯設備士の資格を持つ。



あなたの家は狙われている
「わが家の防犯セルフチェック」の結果はいかがでしたか。侵入窃盗犯は突然やって来るわけではありません。事前に下見をして、対象となる家を探す傾向があるといわれています。十項目のうちあてはまるものがあった方は、十分注意してください。
ここで改めて、空き巣や泥棒が「狙いやすい家」とする家の特徴をまとめてみました。
狙われやすい家の特徴 ワースト3
1.留守かどうか分かる
侵入窃盗犯が下見で確認するポイントの一つが留守になる時間帯です。例えば、ポストに郵便物が溜まっていたら長期に外出していることが分かります。ほかにも、照明がついているか、家の中から音がするか、遅い時間まで洗濯物が干したままになっているかなど、留守になる時間を確認し、外出時間帯を調べています。
2.侵入しやすい
犯人は、「合鍵をポスト等に入れているか」「鍵をせずにゴミ捨てなどに行くことがあるか」「風呂場の窓などが長時間開けたままか」「家の外周に足場になるような荷物や脚立が置いてあるか」「塀や植栽などで、通りから敷地内が見えにくくなっているか」などの下見をふまえ、最短の時間で侵入できるように準備を行います。
3.逃げやすい
人通りが少なかったり、ご近所づき合いが希薄だったりする場合、逃げる際に目撃されたり声をかけられたりするリスクが減るため、逃走しやすいと判断されます。人感ブザーやセンサーライトのように、音や光を出すようなものがないかも確認しています。
マンションも要注意
「防犯カメラの死角がないか」「管理人の不在時間は?」などの下見を行う傾向があります。宅配業者などを装い、オートロックを解除させて侵入する犯人もいるので要注意です。
空き巣・強盗に狙われない 4大防犯対策
わが家が空き巣などに狙われないか不安を感じている場合、どのような対策を取れば良いのでしょうか。犯人は「人の目」「音」「光」「時間」を嫌うといわれています。まずはこの四原則を理解しましょう。
「人の目」を嫌う
犯人は「人の目」があると侵入しにくい・逃走しにくいと考えて犯行をあきらめる傾向にあります。植栽や大きな不用品は整理して、外からの視認性を確保することや、防犯カメラの設置が有効な手段です。そして、日ごろから近所と挨拶をすることも重要です。空き巣犯に対し、「(自分が)部外者であることを気づかれやすい」という印象を与えやすくなります。犯行前に挨拶をされたことで、顔を見られたと思い、犯行をあきらめるケースもあります。

「音」を嫌う
敷地に侵入したときに「音」が出る工夫をしておくことも有効です。例えば家の外周に、歩くと大きな音が鳴る防犯砂利を使用したり、人感ブザーなどを設置したりすることで、「音」によって侵入を防ぐことが可能です。
「光」を嫌う
犯人は、「光」を当てられることにより、人の注目を集めたり、顔を見られたりすることを嫌います。センサーライトなどを設置することで、夜間でも顔を見られてしまう環境であることを印象づけることが有効です。

「時間」がかかることを嫌う
空き巣犯は、侵入に「5分」かかると、7割近くが侵入をあきらめるといわれています。
ゴミ捨てやコンビニなど、短時間の外出でも玄関や窓を施錠することを心がけましょう。そして、合鍵をポストや植栽などに入れないようにしてください。家の周りに足場となるようなものを置かないことも重要です。
また、ディンプルキーなどのピッキングが困難な種類の鍵を使用することも有効です。さらに、補助錠や防犯フィルムを使用することで、容易に侵入できないようにすることができます。 侵入窃盗犯が嫌がるとされるこれらの4大原則にもとづき、それぞれの住まいの環境に応じた防犯対策を心がけましょう。
どうやって侵入する?
空き巣・強盗の手口と効果的な防犯対策
空き巣はどのように住宅に侵入してくるのでしょうか。警察庁の2021年のデータによると、侵入窃盗について、戸建て住宅では窓からの侵入が5割強、出入り口からの侵入が4割弱、中高層住宅では出入り口が6割弱、窓が4割強で、窓と出入り口の防犯を強化すべきことが分かります。侵入窃盗犯の手口と有効な対策をお伝えします。

侵入窃盗の手口で最も多いのは「無締り」です。侵入の手間が省ける分、空き巣にとっては狙い目となります。ゴミ出しやコンビニへの買い物など、わずかな時間でも施錠しましょう。

次に多いのは「ガラス破り」。ドライバーを窓の溝に差し込み穴を空け、施錠を解く「こじ破り」や、火でガラスをあぶり壊す「焼き切り」があります。補助錠や防犯フィルムが有効です。

植木鉢の下やポストの中など、屋外に合鍵を置いている場合は要注意。空き巣は下見の際に確認しています。置いている場合は直ちにやめて、できれば鍵を交換することが望ましいです。

ドアスコープなどから細い器具を通し、室内側の鍵を解く「サムターン回し」にはサムターンカバー、鍵穴に器具を入れて解錠する「ピッキング」には、ディンプルキーの使用が有効です。
4手口共通の対策
「ドア錠破り」「戸外し」「格子破り」など、空き巣の手口はさまざまですが、すべてに有効な対策として、「留守を悟らせないこと」があります。次の例を参考に対策を心がけましょう。

防犯の第一歩 電話に注意!
警察・消防・アンケートなどを装って電話をかけ、家族構成や資産状況などを聞き出し、その情報を元に行う強盗や詐欺が多発しています。対策として、「個人情報を漏らさない」「通話内容を録音する」などがあります。お住まいの地域によっては録音機の貸与などをしています。各自治体にお尋ねください。