外国人労働者が増加を続けるなか、受け入れをめぐる社会の関心は高まり、実態にもとづく議論が求められています。外国人労働者が安心して働き続けられる環境の整備に取り組むUAゼンセンでは、昨年、政策サポートセンターが外国人労働者の雇用に関する調査(以下「2024調査」)を実施し、本年「UAゼンセン外国人労働者の雇用に関する調査報告書(2024年実施)」を発行(※)。9月3日、「これからの外国人労働者雇用と労働組合の対応」をテーマにオンラインセミナーを開催しました。概要をお伝えします。

UAゼンセン外国人労働者の雇用に関する調査の結果について

労働調査協議会調査研究員 長谷川 翼 氏

2024調査は全加盟組合を対象に実施し、534組織から回答を得ました。

UAゼンセン全体で外国人従業員が4万2715名、そのうち外国人組合員は2万1896名という結果でした(図表1)。2021年・2024年両調査に参加した組織を対象に比較すると、2021年調査と比べ、「外国人を雇用している」組織は10ポイント以上(23組織)、「外国人組合員がいる」組織も約10ポイント(31組織)増加しています。今後外国人労働者が労働組合の一員に定着し、組合活動への参加が広がっていくことが見込まれます。

また、外国人従業員の約9割は「正社員以外(パート等)」で、女性比率は7割超でした。9割以上が流通部門と総合サービス部門に集中しています。

外国人労働者の職場における課題では、「日本語の読み書きが難しい」(約4割)、「日本語での会話が難しい」(3割超)など、コミュニケーション面が顕著でした。一方、組合活動上の課題は、「組合や活動の認知不足」(約3割)、「ニーズの把握が難しい」(2割超)、「役員の知識不足」(2割弱)など、多岐にわたります。

こうした課題を共有するには、まず外国人労働者の人数や属性を正確に把握することが欠かせません。しかしながら、今回調査において会社から「情報提供を得た」と回答した組織は6割に満たず、現場での情報連携は十分とはいえません。企業が厚労省へ提出する「外国人雇用状況届」をもとに実態を把握する必要があります。

外国人雇用の状況は制度改正や業種の動向によりつねに変化しています。UAゼンセンは2019年以降、全国の産業別組織のなかで唯一、継続的に外国人労働者調査を実施しています。今後も定点的な調査をつうじて現場の声をくみ取り、組合活動や政策提言に生かしていただきたいと思います。

(※)「UAゼンセン外国人労働者の雇用に関する調査報告書(2024年実施)」の全文および概要(調査研究レポートNo.8)は、UAゼンセンホームページに掲載しています。