マルハンユニオンは昨秋の定期大会で、『Yuai』をすべての職場で購読することを決め、11月号からパチンコホールをはじめ、ボウリングセンターやゲームセンター、映画館など、全店舗で”職場に1冊”を実現しました。林万喜委員長に決断の背景を聞きました。
労働組合を結成して18年 働きがいのある職場を目ざして
マルハンユニオンは2006(平成18)年9月に結成し、当時のUIゼンセン同盟(現UAゼンセン)に加盟した。ことしで組合結成18年。林万喜委員長は三代目委員長として就任13年目を迎えた。
組合を結成した当時、「パチンコホールに労働組合ができた!」と、大きな話題になった。結成の目的は、労使でパチンコ産業の健全な発展と社会的地位向上をはかり、働く仲間と家族の幸せを実現することにほかならなかった。
とかく「パチンコ」に対しては、ネガティブ(否定的)なイメージを持たれることが多いと語る林委員長。自身が大学卒業後、マルハンに就職を決めた際も、両親を説得するのに苦労したそうだ。
パチンコ業界は、若者が夢や希望を持って志望し、働きがいや誇りを十分に感じ得る職場だということを社会に理解してもらいたい一心で、どこにも負けないくらい一生懸命に組合活動に取り組んできたと力を込める林委員長。「労働時間の短縮」や「サービス労働の撲滅」「有給休暇の取得率アップ」「男女ともに育児休業を取得しやすい環境づくり」、そしてもちろん賃金引き上げなど、働く仲間が安心して働き続けることができる労働環境を整えてきた。
「パチンコ産業への偏見をなくしたい。社会に理解してほしければ、まず自分達がしっかり行動すること。それが組合員を守ることにつながる」
【写真】マルハンユニオンの本部事務所(東京・八丁堀)でインタビューに応える林万喜委員長
現在、組合員数はおよそ7500名。週30時間以上働くパートタイマーの仲間も組合員とし、正社員組合員と短時間組合員はほぼ同数。東京・八丁堀のユニオン本部では、林委員長はじめ9名が専従で、働く仲間のサポートに当たっている。
さらに、労働組合として力を入れているのが「政治活動」。東日本大震災直後やコロナ禍に、一部のパチンコ店(労働組合のない)がルールを守らずに営業したことが大きく報道され、パチンコ業界全体へのバッシングとなった出来事があった。そのとき「川合孝典・田村まみ」UAゼンセン組織内国会議員をはじめ組織内・準組織内地方議員が、国や地方自治体に、正しい理解の促進と公平な支援を訴えてくれたことがありがたかったという。働く者の声を代弁してくれる議員の重要性を痛感し、以来、日常的に政治活動に取り組むとともに、UAゼンセンの他産業の仲間や都道府県支部とのコミュニケーションを密にしてきた。そして、組合員に組合活動や政治活動の重要性を理解してもらうツールとして注目したのが『Yuai』だった。
「UAゼンセンの一員として、機関誌『Yuai』をすべての職場に配布するのが目標だった。これがゴールではなく、ここからがスタート!」
『Yuai』の誌面からは、田村まみ議員の活躍はもちろん、全国のUAゼンセンの仲間の働く姿や組合活動への思いなどが自然と伝わってくる。「組合役員だけで読むのではもったいない」と、全店での購読開始に至った。「ペーパーレスの時代ですが、紙の機関誌は、職場の仲間が手に取りやすく、情報を届けやすい」と、林委員長は語る。
今回の能登半島地震では、石川・七尾店も被害を受けた。林委員長は即座に現地を訪ね、ユニオンの見舞金制度から店舗の全組合員に災害支援金を届けた。さらに2月初めには、長引く断水に苦しむ組合員に追加の支援金を渡すことができたそうだ。「七尾店にも『Yuai』がちゃんと届いていましたよ」。林委員長は笑顔で語った。