イキイキ働き続けるために
働く女性が経験している生理(月経)や更年期の悩み。UAゼンセンは、女性の仲間がイキイキと働き続けるために健康支援を進めています。すでに田村まみ組織内参議院議員も、女性の健康支援の充実へ、国会の内外で取り組んでいます(後編で紹介)。今号では、7月に多様性協働局が開催した「女性の健康と働き方セミナー」の二つの講演からポイントを紹介します。女性はもちろん、男性も注目してください。
連合東京「生理休暇と更年期障害に関するアンケート」結果
連合東京は2022年3~4月、ホームページ上で女性特有の健康問題に着目した実態調査を実施しました。回答した1340人のうち、「仕事をしている」と答えた1319人の調査結果について分析しています。
・生理痛のときの対処法 通院・薬の服用のみ 60.9% なにもしない 37.0% 有給休暇 13.5% 生理休暇 6.2%
「『生理休暇』という名称では利用しにくい」
「周りに生理休暇を取っている人がいない」
「人員に余裕がなく、急な休みを取りづらい」
「男性が多い職場や、男性の上司だと申請しづらい」
生理休暇の名称や意識改革を求める声多数
労働基準法で定められた 生理休暇を取得しやすく
斉藤千秋事務局長は、「女性がいきいきと働き続けるために~連合東京の取り組み紹介」と題して講演を行いました。昨年実施した「生理休暇と更年期障害に関するアンケート」によって、これまでタブーとされていた生理や更年期について、さまざまな課題が見えてきたと語りました。
生理休暇については、労働基準法に定められた女性の権利にもかかわらず、「取得したいが申請しづらい」という意見が非常に多かったと述べ、「使いやすい制度になるように労働組合が運動していこう」と呼びかけました。
【月経前症候群(PMS)】 生理の3~10日前に、腹痛・頭痛・むくみなどの身体的不調や、イライラ・気分の落ち込みなどの心理的不調が起こり、生理が始まるとなくなるもの。日常生活に支障が及ぶほど深刻なものを「月経前不快気分障害」という。 【月経困難症】 月経中に起こる腹痛や頭痛、腰の痛み、吐き気、疲労・脱力感などの不快な症状を生理痛(月経痛)といい、日常生活が困難になるほどの症状があるものを「月経困難症」という。 ほかにも月経周期の乱れや過多月経など、婦人科系の病気が原因になっている場合もあるので早めの受診を。
連合東京「生理休暇と更年期障害に関するアンケート」結果
更年期障害に関するアンケート結果は、更年期症状が40代ごろから現れることが多いため、40代以上の回答者に絞って分析を行いました。
・更年期障害と思われる症状がある
・更年期症状がつらいときの対処法
・更年期症状で病院に行ったことがある
通院したことがある
「更年期障害への理解が不足していると思う。職場で研修をしてほしい」
「相談しやすい、休みやすい職場環境づくりが必要」
「更年期休暇」を求める声多数
「更年期障害だと知られたくない。休暇制度の名称は工夫してほしい」
“更年期離職”推計57万人 社会問題化
更年期は閉経の前後10年間(およそ45歳から55歳)とされ、女性ホルモン(エストロゲン)の減少過程で心身にさまざまな不調が現れます。更年期症状には個人差がありますが、日常生活に支障をきたすものを更年期障害と呼びます。2021年にNHKなどが行った調査から推計した更年期離職の数はおよそ57万人(女性約46万人、男性約11万人)といわれます。
更年期症状をチェックしよう
下のチェックシートは「簡略更年期指数(SMI)」で、更年期症状の有無・程度を知るために多くの病院で使われています。合計点をもとに自身の状況をチェックしてみましょう。
更年期障害への正しい認識を普及させ 更年期を乗り越えられる職場環境へ
生理休暇が法律(UAゼンセンの大先輩・故赤松常子参議院議員が制定に尽力)で認められているのに対して、更年期症状・障害を理由とした休暇を認める法律はなく、有給休暇を使ってしのいでいる実態がアンケートから分かりました。早急な法整備が求められています。
男性ホルモン(テストステロン)の減少により、男性にも更年期症状は現れます。男性ホルモンの減少はゆるやかなため、強く症状が出ないことも多く、女性と同様、個人差があります。
講師プロフィール 連合東京事務局長 斉藤 千秋 さん 日立製作所に総合職として入社。日立労組本部中央執行委員(中執)、電機連合中執、連合中執などを歴任。2019年より現職。家族は夫と長男19歳、長女16歳。