2026賃金闘争が本格化しています。UAゼンセンは最大限の成果獲得を目ざし、昨年12月19日に「賃金闘争推進セミナー」を開催。直近の経済情勢や政労使の動きなどを確認しました。内容を紹介します。
"ベースアップの獲得が重要"
一般社団法人 成果配分調査会 代表理事
浅井 茂利 氏
物価上昇が依然継続 経済は緩やかに回復
2026賃金闘争の推進に当たり、まずは直近の経済情勢を概観したいと思います。
各種統計調査をもとにGDP(国内総生産)の成長率を確認すると、一時的な落ち込みはありましたが、基本的には底堅く推移をしています。
国内消費は持ち直しつつある状況です。一方、食品や衣料品といった「非耐久財」には依然、弱さが残っています。このような状況のもと、消費者物価上昇率は3%程度で推移していますが、「生活必需品」に限定すると上昇率は4%台で高止まりしています。
今後は、トランプ関税や日中対立といった国際情勢、日本銀行による金融政策の変更などに注意が必要です。
「ベースアップ」にこだわった賃上げを
続いて、いわゆる「春闘」(※UAゼンセンは労働条件闘争・賃金闘争)における賃上げのメカニズムについて再確認をします。
一般に「賃上げ」にはベースアップ、定期昇給、格差是正の3つの種類があります。このうち、ベースアップは「労働者が日本経済の成長に見合った生活水準を享受するため、マクロ(国全体)の生産性向上と物価上昇にもとづき決定されるもの」と定義されます。
一方、「格差是正」とは、企業規模間、産業間、雇用形態間、若年層・中高年層間などで生じる賃金の差を埋めるための賃上げを意味します。このことから、「格差是正」に関しては、ベースアップとは別の原資で行う必要があります。
また、近年の傾向として、一部の経営者などから「ベースアップの代わりに一時金の増額や福利厚生の充実を行いたい」という声があることには注意しなければなりません。
一時金の増額や福利厚生の充実はベースアップとは性質が異なります。とくに、物価上昇が継続している状況では、ベースアップの獲得こそが重要と言えます。
「定期昇給」については「従業員の1年間の職務遂行能力の向上」「従業員の年齢上昇に伴う労働力の再生産費用の増加」を賃金に反映させる仕組みです。「労働力の再生産費用」とは、労働者が健康に働き続けるために必要な衣食住、健康維持、休息、教育研修などの「生活コスト」の合計を意味しています。雇用形態や年齢に関わらず、すべての従業員に「定期昇給」を適用することは非常に重要です。

いまこそ大幅な賃上げを
大幅賃上げを実現し 将来不安を解消する
最後に、2026賃金闘争における主張点をまとめたいと思います。
いわゆる「春闘」は、個別企業における労使交渉を同時期に集中させ、賃上げの社会的相場を形成する合理的な仕組みです。
物価上昇のもと、消費が伸び悩む背景には「将来不安」があります。いま、消費を大きく押し上げる有効な手段は、大幅な「ベースアップ」の獲得にほかなりません。
安定した賃上げの継続こそが日本全体の需要を回復させ、日本経済の成長につながる鍵となるのです。
現在、経営側の課題として従業員を含めた幅広いステークホルダーの利益を考慮する「ステークホルダー資本主義」の実現が求められています。
いまこそ、物価上昇を上回る賃上げを実現し、実質賃金の引き上げの定着に取り組みましょう。
