この春「本屋大賞」を受賞した宮島未奈著『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社刊)の人気が沸騰中です。主人公・成瀬あかりのわが道を突き進む姿に勇気と感動をもらい、爽やかな読後感が魅力です。物語の舞台である滋賀県大津市では、全国から多くの人が〝聖地巡礼〟に訪れ、スタンプラリーも開催されるほどの盛り上がりを見せています。そこで本誌も、UAゼンセン滋賀県支部の仲間による聖地巡りを実施しました。読書の秋に、ぜひ注目を!。
【2024年本屋大賞】『成瀬は天下を取りにいく』
宮島 未奈 著 新潮社 刊
滋賀県大津市・膳所(ぜぜ)に暮らす成瀬あかりを主人公にした青春小説。成瀬のユニークすぎる発想や行動と、それに巻き込まれる周囲の人々のエピソードにぐいぐい引き込まれ、成瀬ファン続出中。続編『成瀬は信じた道をいく』とともに人気沸騰。
“膳所といえばUAゼンセン滋賀県支部”
UAゼンセン滋賀県支部には57の所属加盟組合(1万2904名)が集っている。県支部の事務所は膳所駅から徒歩7、8分。支部では、膳所が舞台の小説の話題で盛り上がっている。平井孝史次長はすでにスタンプラリーも制覇したそうだ。皆さんもぜひチャレンジを!
UAゼンセン滋賀県支部の“ゼゼカラ”コンビと聖地巡り
『成瀬は天下を取りにいく』の舞台として、最も登場するのが膳所の街。この作品のおかげで、難読地名の膳所が全国に知られるようになった。さっそく、滋賀県支部の“ゼゼカラ”コンビと、小説に描かれた膳所のスポットを訪ねてみよう。
成瀬に出会えそうな膳所の街を散策しよう
〜ときめきエリア〜
駅の構内には、成瀬あかりと島崎みゆきのイラストが目を引く大きな看板が設置されている。作品に登場する「膳所から世界へ!」のフレーズをもじり、「世界から膳所へ!」と来訪者を歓迎している。
膳所駅から琵琶湖方面にゆるやかに伸びる坂道。「ときめき坂」の名称は1998(平成元)年に県の公募により採用された
ときめき坂を下ると、におの浜二丁目交差点の右側に小さな公園が現れる。成瀬と島崎が幼いころから慣れ親しんだ児童公園で、漫才の練習場所としても作品中にたびたび登場する。
大津市民に愛された西武大津店(労働組合はUAゼンセンの仲間)は2020年8月31日、44年の歴史に幕を閉じた。閉店までの1カ月間、大津店に通う成瀬の姿から物語は始まる。現在跡地には15階建てのマンションが建つ。
成瀬がアルバイトをした平和堂のモデルになったお店が入るショッピングモール。におの浜2丁目交差点から全容が望める。
“レッツゴーミシガン”琵琶湖クルーズ”
大津市の魅力は日本一大きな湖「琵琶湖」を間近に感じられるところ。『成瀬は天下を取りにいく』の「レッツゴーミシガン」の章では、成瀬が広島県から来た高校生を遊覧船ミシガンのクルーズに誘う。地元愛の強い成瀬は「年に2、3回」乗船しているそうで、「何度乗っても飽きない。いい船だ」と絶賛する。滋賀県支部のゼゼカラコンビが大津港に着くと、クルーズを終えたミシガンが帰港するところだった。60分と90分のクルーズコースがある。
びわ湖大津観光大使「成瀬 あかり」もおすすめ大津の見どころ
【物語の舞台】
『成瀬は天下を取りにいく』と続編『成瀬は信じた道をいく』のなかには、成瀬をはじめ、周囲の人達の膳所愛・大津愛がちりばめられている。極めつけは、成瀬が「びわ湖大津観光大使」に応募し、見事に選ばれる場面。成瀬は堂々と、「大津市には近江神宮やミシガンクルーズといった見どころがある。ぜひ一度遊びに来てほしい」と、全国へ向けて発信する。
知らぬ間に大津の魅力にはまる本作。きっと、小説に描かれた聖地を訪ねたくなることだろう。
近江神宮
百人一首かるたの祖といわれる天智天皇を祀る神社。琵琶湖西岸の山裾にあり、豊かな緑に癒される。
フレンドマート大津テラス店では撮影用の制服を無料で貸し出している
作品に登場する『平和堂 フレンドマート』はUAゼンセンの仲間のスーパーマーケット
【Oh!Me大津テラス1F フレンドマート 大津テラス店】
地元を愛する成瀬が選んだバイト先
続編『成瀬は信じた道をいく』では、京都大学1回生となった成瀬が地元のスーパーマーケットでアルバイトを始める。この店舗のモデルになっているのが「フレンドマート大津テラス店」。小説の人気の高まりを受けて、店舗では平和堂の制服姿の成瀬あかりの等身大パネルやスペシャルメッセージボードを設置し、スタンプラリーのスポットとともに特典の交換場所にもなっている。聖地巡りの締めくくりに訪ねてみよう。