エディオン労働組合(流通部門)

エディオンは西日本を中心に家電量販店を約1200店舗(フランチャイズ店舗含む)展開し、人々の生活を支えている。エディオン労働組合は「育児・介護・療養と仕事の両立」を活動方針に掲げ「ダイバーシティ推進労使プロジェクト」などをつうじて働きやすい環境づくりに取り組んできた。

環境づくりに臨むに当たり、組合は「スマイルシャインミーティング」(仕事と子育ての両立について情報交換する場)などで組合員の声を聴いた。すると男性の育児参画を望む声が多く上がった。これらの声を実現するためには育児と仕事を両立しやすい職場の風土が必要。そのためにはどうすれば良いか検討を進めると、「出産育児目的休暇」を見直すべきではとの意見が上がった。出産育児目的休暇とは、妻が出産したときに夫である社員が2日間取得できるエディオンの特別休暇。「この制度を拡充し利用を進めることが育児参画のきっかけになる。そこから男性の育児休業の取得につなげ、育児と仕事の両立をしやすい職場環境にしていこう」と、考えがまとまった。

一方、組合員の年齢構成から、近い将来、親の介護が必要な組合員が増えることが見込まれた。アンケートを実施したところ「3年以内に家族の介助・介護が必要になりそう」との回答が3割以上に及んだ。組合は介護離職の防止策を検討したすえに既存の介護短時間勤務制度に着目。「要介護状態にある家族を介護する場合、希望により利用開始の日から3年間、所定労働時間を7時間、6時間、5時間のいずれかにすることができる」という本制度の拡充が介護離職の防止に有効との考えに至った。

これら育児・介護の課題について、組合は経営協議会などをつうじて会社との認識共有や意見交換を重ねた。

2024労働条件闘争では、①男性の育児休業取得100%へ向けた取り組みとして「男性の育児休業取得へ向けた出産育児目的休暇の日数の延長」②介護離職防止へ向け、「介護短時間勤務の期間を“事象の終了時まで”に変更」を要求に掲げ、交渉に臨んだ。働く仲間達の声を背に、組合一丸となり交渉した結果、二制度とも改定されることになった。

出産育児目的休暇については、これまでの「出産時に2日間」から「出産予定日前後1カ月以内に5日間」に拡張。分割取得も可能となり、取得が義務化された。介護短時間勤務については対象期間が「利用開始から3年間」から、「利用開始から事象(介護)の終了まで」に延長された。

4月の施行をふまえ、組合は二制度の改定内容について周知に努めた。全国約450カ所で行われる分会集会で代議員が組合員へ説明。さらに、壁新聞『ユニオンタイムズ』、組合広報誌『ハーモニー』、組合ホームページなどさまざまな手段で漏れのないように伝えた。

その後、「制度改定のおかげで介護短時間勤務の期間を延長し退職を回避できた」「いざというときに使える制度があると安心して働ける」などの仲間達の声が組合に届いた。

「育児・介護を含め、体力の低下、通院、家族の送迎など、多くの仲間達がそれぞれの事情を抱えています。そんな仲間達のだれもが安心して働き続けられる環境を整えていきたいです」。刑部嘉人委員長と共に制度改定に尽力した鈴木敏文書記長は力強くそう語る。

続けて「その実現のために、特別な理由なく利用できる正社員短時間勤務制度の導入も視野に入れています。実現すれば制度を利用する仲間同士で『お互いさま』の機運が高まり、思いやりのあふれる職場になるはずです」と、理想とする職場の将来像を熱く語ってくれた。

【トップ写真】労働条件闘争に臨んだ中央執行委員の皆さん