正しい消費行動の促進には働く仲間の「声」が重要

UAゼンセンは、働く者の視点に立った政策・制度の実現を目ざして、国会・地方議会の各組織内・準組織内議員が、さまざまなテーマについて議論する情報交換会を適宜開催しています。
5月12日・16日には川合孝典・田村まみ・堂込まきこ組織内参議院議員および組織内・準組織内地方議員ら約30名の出席のもと、万引き対策や地方消費者行政に関する情報交換会(Zoom)を開催しました。

「万引き」の対応は従業員に大きな負担

「万引き犯罪」は社会問題の一つであり、小売業の働く仲間に大きな負担や不安を与え、多大な損失をもたらす深刻な課題です。

全国万引犯罪防止機構の推計では、2023年度の万引き被害総額は3460億円にのぼるとされています。

仮に、万引き被害の単価を1件当たり1万円と想定した場合、万引き件数は3460万件となります。一方、警察庁の発表した万引きの認知件数は、9万3168件に過ぎず、想定の0.3%程度しか明らかとなっていないことになります。

このように、万引き犯罪は、警察など公的機関に認知されていない件数(暗数)が非常に多いという特徴があります。

UAゼンセン流通部門では、職場における万引き犯罪の実態や組合員が抱える悩みを把握することを目的に、2022年12月〜2023年2月の期間において「万引き対策アンケート調査」を実施。106組合から2万1840件の回答を集約しました。

本調査では、全体の54.3%が「万引き対応に負担を感じている」と回答。また、正社員組合員に限定した場合、69.1%が負担を感じているなど、切実な現場の実態が明らかとなりました。

2日間にわたり、30名の地方議員らと情報交換を実施し、それぞれ地域における実態や課題を共有し合った


流通現場の実態をもとに消費者行政の強化を

万引き犯罪の防止へ地域の諸課題を共有

このような実態をふまえ、5月12日・16日の両日、組織内国会議員と組織内・準組織内地方議員をZoomでつなぎ、「万引き対策」「地方消費者行政」の2つをテーマに情報交換を実施しました。

情報交換の冒頭、川合孝典、田村まみ、堂込まきこ組織内参議院議員は、「小売業の仲間から切実な声が届いている。地域特有の課題や先駆的な取り組みを共有していただき、皆さんと連携し、それらを国政に届け、課題解決につなげたい」と提起しました。

続いて、「万引き対策」について、参加した地方議員から「市と警察が共同で毎月発行している機関紙に万引き犯罪の件数を記載し、周知をはかっている」(愛知県一宮市)や「県内の小売事業者と警察の意見交換の場を設定する予定」(岐阜県)といった取り組みが共有されました。

また、「防犯カメラなど機器の更新に対する費用支援が必要」(埼玉県)といった国に対する要望も寄せられました。

地方の消費者行政は今後ますます重要に

「地方消費者行政」に関する意見交換では、田村議員が「国の地方消費者行政強化交付金『地方消費者行政推進事業』は本年度で終了する。一方、消費生活相談員など、消費に関する身近な相談先の役割は大きくなっている。各自治体の現状を聞かせてほしい」と呼びかけました。

参加した地方議員からは、「若年層では、電子商取引における詐欺被害が増えており、消費者行政はますます重要となっている」(東京都東村山市)や「消費者を守る対応について、地元の弁護士会有志と意見交換を実施している。また、6月に市議会として国に対し、消費者行政の充実を求める要請を予定している」(北海道札幌市)といった事例が挙げられました。

一方、高齢者、障がい者らの消費行動に対し、地方自治体と地域関係者が見守り活動を展開する「消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)」について、「他の協議会も多く、構成員のなり手がいない」(福岡県小郡市)といった課題が共有されました。

これに対し、田村議員は「ご指摘いただいたとおり、各自治体にさまざまな協議会が設置されている状態であり、必要な役割を担う人材確保に課題があるように感じている。今後の協議会のあり方や効果的な活用方法について、引き続き、皆さんの声を聞きながら、国政での対応につなげていきたい」と応じました。

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田村まみ組織内参議院議員 プロフィール


1976年生まれ。1999年、ジャスコ(現・イオンリテール)に入社。食品スーパーのマックスバリュでデイリー部門(豆腐や納豆)ひと筋に勤める。2006年組合専従(中央執行委員)。2019年7月の第25回参議院議員選挙(比例代表)で初当選。厚生労働委員会、予算委員会、消費者問題特別委員会などに所属。本年7月実施の第27回参議院議員選挙(比例代表)の組織内候補者として、働く仲間の声を聴きながら、政策実現にまい進中。